立方体パズルの6面の色を回転させてすべて揃える、いわゆる「ルービックキューブの早解き」で三菱電機の特任チームがギネス世界記録を樹立した。記録は、これまでの認定記録0.38秒を上回る0.305秒だ。
記録を樹立したロボット「TOKUFASTbot(トクファストボット)」を開発した、同社コンポーネント製造技術センターを取材した。モーターや制御装置、またこれらを搭載した製品の開発、設計、製造技術開発を行う部署だ。
挑戦を後押しするプロジェクト
「TOKUFASTbot」の回転機構には、小型・高出力かつ応答性の高い三菱電機製のサーボモーターを使用。独自のAI(人工知能)技術を応用した色認識アルゴリズムによるロボット制御も活用し、世界最速で「ルービックキューブ」を解くロボットを制作できたという。
コンポーネント製造技術センターは取材に対し、「若手エンジニアたちが日々ものづくりの開発に携わる中で、搭載する当社製モーターの高速かつ高精度な制御技術を国内外へ広く伝えたい思い」が、ロボット開発のきっかけだったと話す。
同センターには「わくわくプロジェクト」という取り組みがある。「失敗するかもしれないけれど挑戦してみたい」という提案を受け入れ、挑戦意欲を持つ若手をはじめエンジニアたちの背中を少し押すような活動とのこと。「ルービックキューブ早解き」の挑戦も、同プロジェクトの一環として2022年9月頃から開発に着手した。
ものづくりの革新に貢献していきたい
「TOKUFASTbot」開発にあたっては、通常の製造設備の開発では求められない「究極の高速化と瞬時の色認識を追求した点」に苦心したという。高速で回転しているモーターを狙った角度まで回転させた状態で正確に停止させる制御技術(位置決め技術)を応用して、「ルービックキューブ」の振動を抑えながら回転させる機構を搭載した。
「今後も挑戦する意欲がもっと活発になり、新たな『世界トップクラスの技術』を作り出して、世の中のものづくりの革新に貢献していきたい」とのことだ。