「区民の声」に苦情メールが匿名で2件
自治体が購入補助に取り組んでいる背景には、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を掲げて、政府が21年9月にデジタル庁を発足させ、同庁で行政サービスの原則オンライン化を進めていることも背景にあるようだ。
政府としては、国と自治体の大半の行政手続きをスマホ一つでできる社会を目指すとされている。
購入補助を担当している文京区の高齢福祉課は6月12日、J-CASTニュースの取材に対し、国から補助などは受けていないとして、区独自に22年10月から制度をスタートさせたと明かした。その理由については、次のように説明した。
「そもそもは、コロナ禍で外出できなかったお年寄りの方が孤立化するのを防ぐのが目的でした。最近は、ガラケーの種類も少なくなっており、ペイペイなどのキャッシュレス決済のポイント機能は、スマホでないとできません。スマホを持っておられる方の多くは、LINEを使ったり写真を撮ったりして楽しんでおられます。持っていない方の社会参加の手段として、スマホを持つことは大きな意味があります。そのきっかけ作りとして始めました」
スマホを持てば、オンライン化した診察券、区の防災アプリに対応できるほか、5月に成立したマイナンバー法改正で全機能をスマホに搭載できるようになったマイナンバーカードも使えるとした。
前出の投稿がX上で拡散した影響のためか、スマホの購入補助について、ここ数日で「区民の声」に苦情メールが匿名で2件届いたという。いずれも、「高齢者にバラまくな」という内容だった。
これに対し、区の高齢福祉課では、次のように説明した。
「バラマキと言われましたが、子どもにも補助金が出ています。お年寄りの方が社会参加する手段として、スマホを持っているメリットはあると思っています。悪意あるメールなどについては、無料のスマホ講習会などをしていますので、参加してスキルを学んでほしいですね」
なお、購入補助は、22年度が267件、23年度が約170件と減っており、役割は終えたと判断して、24年度末で終了する予定に変わりはないとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)