面接では、時々アイコンタクトを心掛ける
――格好の協力者が得られたわけですね。その結果、やはりカメラのほうをしっかり見て、相手と視線を合わせたほうが高い評価が得られるということですが、その理由は何ですか。
山根典子さん 専門用語では、「ノンバーバル(非言語的)コミュニケーション」と言います。たとえば、文章や言葉だけより、顔の表情や声の大きさ、身振り手振り、ジェスチャーなどによるコミュニケーションを加えると、相手に訴える力がさらに強くなります。
視線もその大切な1つで、相手と目線をしっかり合わせたほうが、好印象を与えることが先行研究で明らかになっています。顔写真でも、視線がこちらを向いていたほうが強い印象を残しますね。
――それはわかりますが、カメラ目線で面接官としっかり視線を合わせたケースと、映像を消して音声だけにしたケースとで、全く同じ評価だったのはどういうわけでしょうか。
山根典子さん 正直、この結果には私も驚きました。目の前に受験者がいなくても、音声で話す内容だけでプロの面接官は同じ評価を下したわけですから。つまり、受験生が何を喋っているのか、その内容をしっかり判断して正当に評価しているということです。
――それならば、就活生がスクリーンを注視して、視線が下を向いている状態でも同じではないでしょうか。話す内容が同じわけですから。
山根典子さん いいえ。そこが違う点が、今回の研究では重要なポイントになります。面接官からは受験生が下を向いているように見えると、視線方向によるバイアスがかかり、評価を落としてしまうのです。
つまり、視線を合わせると、音声だけの場合と全く同じだから、特にプラスの評価になるわけではないが、好印象を与える。しかし、うつむき加減になると印象が悪くなり、マイナスの評価になりかねない、というわけです。
就活生にとって損ですから、それを避けるために、ぜひ、時々アイコンタクトをすることを心掛けてください。画面上の相手を見ている時は、相手からは視線が合ってないように見られていることを、常に意識しましょう。