企業は、従業員の将来が「明るく」なるよう支援を
――しかし、会社が公平・公正な評価を行なうシステムをつくることが大事だといっても、制度変更には時間がかかりますよね。
朝比奈あかりさん はい。だからこそ、できることからすぐに着手してほしいと思います。それは、上司が部下にフィードバックして、しっかり成長支援やキャリアサポートを行なうことです。
さきほど述べた、評価に納得した人たちを見ても、上司との間で日ごろからコミュニケーションがとれているケースが多く見られました。管理職のコミュニケーション力も大切になるかもしれません。
転職者を対象とした調査でも、転職する理由に「賞与が少ない」「月給が低い」と並んで「職場の人間関係が悪かった」がトップクラスに入っています。「会社の将来性に不安があった」を大きく上回っており、いかに上司の、職場のいい雰囲気作りが大切かわかります。
――最後に特に強調しておきたいことがありますか。
朝比奈あかりさん 昨年(2023年)11月、20~59歳の正社員男女3000人のワークライフ意識調査を行ないました。驚いたのは、「将来の見通しは明るいか? 暗いか?」と聞くと、「明るい」と答えた人が14.4%で、「暗い」と答えた人が2倍以上の35.0%もいたことです。
将来の不安を抱えたまま、働き続けている人がそれだけ多いということです。日本型終身雇用は崩れてしまいましたが、一緒に働くのも何かの縁。企業はぜひ、従業員が将来に希望を持てるよう、積極的にキャリア支援をしてほしいと願っています。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
【プロフィール】
朝比奈 あかり(あさひな・あかり)
株式会社マイナビ社長室 キャリアリサーチ統括部
キャリアリサーチラボ研究員
2016年中途入社、「マイナビ転職」の求人情報や採用支援ツールの制作に携わる経験を経て2020年に現職へ。
専門・研究分野:中途採用領域全般、正社員の働き方、転職と賃金の関わり、キャリア自律など。