たとえ賞与額低くても、自分の評価に納得感があれば
――ボーナスの額に納得感がないことと、自分に対する評価に納得感がないことの間に強い相関がある点が、調査の核心になっています。
そこから、転職を防いで従業員のやる気を高めるには、ボーナスの額を増やすのが理想だが、難しい場合は賞与額や評価に対して丁寧に説明すべきだと訴えています。具体的にはどうすればよいでしょうか。
朝比奈あかりさん 調査では、実際に自分の評価に納得した人たちの声も聞いているので、そちらをご紹介します。
「上司との面談で、今までの頑張りを高評価していただけて納得した。よかったと感じた」(女性20代)。「上司からのフィードバックがあり、どこが課題で、どこがよかったか、お話していただいた」(男性20代)。
「評価基準が明確になり、公表されるようになった」(男性30代)。「成し遂げたプロジェクトについて、適切なアドバイスがもらえた」(女性40代)。「会社の業績に関する説明があり、納得しました」(男性40代)。
といったふうに、上司から自分への率直な評価や、会社の業績を包み隠さず、心を込めて説明されると、納得する人が多いのです。
――ボーナスをバーンと出せなくても、丁寧に説明すると納得してもらえるということですね。その際、一番大事なことは何でしょうか。
朝比奈あかりさん 会社自身が従業員に公平・公正な評価を行なうことができるよう、しっかりしたシステムを作ることです。
なぜなら、人材の流動化が進むと、評価する人、される人が頻繁に変わることが当たり前になっていくからです。今後は、誰が評価する立場になっても、誰でも納得感を得られる評価ができるような制度をもつ会社が増えていくのではないかと考えています。
大企業だけでなく、中小企業も賃上げが進んでいると言われていますが、今回の調査では、6割の人が夏のボーナスには賃上げが反映されないだろう、と悲観的に答えています。それだけに、ボーナス前の直近の評価でいかに納得感を得られるようにするかが重要になります。