VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLORが2024年6月3日、「甲斐田晴」さんをはじめとする所属ライバーへの悪質な誹謗中傷行為を行ったユーザーに対し、損害賠償請求訴訟を起こしたと発表した。発表では、業務妨害罪で所轄警察署に被害届を提出し、受理されたことも明らかにした。民事、刑事両面での対応だ。
発表では、配信を妨害する「荒らし行為」やハッシュタグを悪用した「タグ荒らし行為」などの迷惑行為について具体的に例示している。
「荒らし」「タグ荒らし」「危害予告」行ったのは同一人物だった
ANYCOLORは3日、「当社所属ライバー『甲斐田晴』に対する 極めて悪質な誹謗中傷行為・荒らし行為等への対応について」として迷惑行為への対応を明かした。
問題となっていたのは、ゲーム配信やギターの弾き語りなどを行っているVTuber・甲斐田さんへの迷惑行為だ。発表では、具体的な迷惑行為の内容についても明かしている。
今回の発表で公開されたのは、第一に、ライブ配信を妨害する意図で短時間で執拗にコメントを連投する「荒らし行為」。第二に、SNSにて「甲斐田晴」を含む関連ワードを使用したハッシュタグや、甲斐田さんらのビジュアルを利用した画像や動画を無断で添付したうえで、他人を不快にさせるグロテスクな画像等を多数連投する「タグ荒らし行為」。そして「当社主催のライブイベントに参加した当社所属ライバーに対する危害予告」の3点だ。
甲斐田さんをめぐっては、過去にSNSで「タグ荒らし行為」への注意喚起が行われていた。
名前をそのまま用いたハッシュタグのほか、ファンアートを紹介するハッシュタグなどを悪用しての迷惑投稿が行われ、甲斐田さんに関連するワードを検索したユーザーが真偽不明の噂話や、虫などのグロテスクな画像を目にしてしまうという被害報告が相次いでいたためだ。
ANYCOLORでは損害賠償請求の前提として発信者情報開示請求訴訟も起こしており、「上記投稿を行った者が同一人物であったことが判明いたしました」という。
同社は一連の迷惑行為について「『甲斐田晴』を中心とした多くの当社所属ライバーのライバー活動が妨害され、また、上記各投稿がにじさんじファンの皆様に不快感を与え、ファンの皆さまにも大変なご迷惑とご心配をお掛けしたものと考えております」とした。
その上で、「対象者による上記各投稿は極めて悪質な行為であると判断し、当該人物に対して、損害賠償請求訴訟を提起いたしました」としている。
損害賠償請求と並行し、さらに厳しい対応も取ったとした。
「対象者に対する刑事責任を追及するべく、業務妨害罪で管轄警察署に被害届を提出し、受理されました」
甲斐田さん以外にも「現在進行中の法的手続が多数ございます」
甲斐田さんに関連する問題だけでなく、「本件以外にも、国内外問わず、当社所属ライバーに対する誹謗中傷行為等に対する現在進行中の法的手続が多数ございます」という。
なお、甲斐田さんをはじめとするライバーに対し、騒動についてSNS上で尋ねたり配信中にコメントしたりする行為は控えてほしいと訴えている。
SNSでは、「ポジティブな内容ではないけれど、V界隈の躍進の一つだと思います。担当された方々、本当にお疲れさまです」「ANYCOLORがこういう前例をたくさん作ることは、にじさんじのライバーだけでも、バーチャルライバーだけでもなく、配信活動やSNSで活動されてるあらゆる方々を守ることに繋がると思います」など、厳しい対応を支持する声が相次いでいる。
甲斐田さんは動画でも経緯を説明。
「もし誹謗中傷や荒し行為を行ってしまっている自覚がある方は、どうか取り返しがつかなくなる前に思いとどまってほしい」
などと訴えた。