給付金と違い...複雑で、わかりにくく、実感わかない
J-CASTニュースBiz編集部は、研究顧問として同調査を行い、雇用労働問題に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。
――そもそも定額減税が行われること自体を「知らない」人が40%もいることをどう思いますか。私の知人で、今年から新NISAを始めた女性がいます。彼女に定額減税について意見を求めると、「なに、それ?」と全く知りませんでした。マネーに関心が深いはずなのに(笑)。
川上敬太郎さん 定額減税については連日報道されてはいたものの、減税という方式をとっているからか、誰に・いつ・どんな恩恵があるのかが具体的にイメージしづらく、いま一つピンと来ていない人が多いのではないかという印象を受けました。
一方で、ここ数年続いている物価高は真綿で首を締めるかのように家計を圧迫し続けています。「家計が助かる」と考えている人より、「家計に影響はない」と考えている人のほうが多いところに、一時的な減税措置だけではどうにもならない家計の現状が如実に表れているように感じます。
――定額減税は、支給額や支給方法をめぐり議論が沸騰した「コロナ給付金」に比べ、驚くほど関心が低いです。岸田政権は当初、「定額減税」の恩恵を武器に、解散・総選挙に打って出ると言われたものですが、この冷ややかさはどういう理由からでしょうか。
川上敬太郎さん 金銭的なメリットを考えると、減税自体はありがたいことだと感じている人は少なくないでしょう。しかし、給付金のようなわかりやすさがないことで、その恩恵がイメージしづらい印象があります。
一方で、防衛費絡みの増税やインボイス制度の開始、2024年度から始まる森林環境税の徴収をはじめ、社会保険の加入対象拡大や年金納付期間の65歳までの延長など、支出が増える話が次から次に出てきています。
さらには、物価高が加わり生活はあえぐような状態なのに、政治に対しては裏金問題で不信感が募っている状況です。それらの不安・不満要因が渦巻くなか、定額減税というわかりにくい施策はインパクトに乏しく、埋もれてしまうのかもしれません。