千葉県市原市は、仮想空間プラットフォーム「DOOR」を活用したメタバースで、市職員採用説明会を2024年5月27日に実施した。千葉商科大学(千葉県市川市)、NTT東日本千葉支店(千葉市)と連携したものだ。
「DOOR」は、特殊なアプリやゴーグルが不要。ウェブブラウザにアクセスするだけで、簡単にメタバースが体験できる。
対面、オンラインの課題を克服
発表資料によると、従来の市の採用説明会は、対面だと時間に縛られ、遠方からの参加が難しいという課題があった。オンラインの場合は、市職員から参加者への説明が一方向的になる傾向があり、双方の十分にコミュニケーションが取りづらくなっていた。
こうした課題解決のため、メタバース空間による採用説明会を実施。バーチャル会場は、千葉商科大学人間社会学部・鎌田光宣教授と、ゼミ所属学生が制作にあたり、実施方法などをNTT 東日本が助言した。会場は事務職、土木職など各職に分かれて説明を行えるよう複数の空間を制作。参加者は職種別の各説明空間で、アバターを介して担当者と会話ができる。
採用説明会の参加者は、事務職7人、保健師職1人、消防吏員1人の計9人が参加した。
新技術に抵抗感が少ない若者たち
採用説明会終了後、市原市 総務部 情報政策課を取材した。メタバースはアバターを介したコミュニケーションツールで、オンライン会議ツールのようにお互いの顔は見えない。相手との対面性が低いからか、参加者から、より突っ込んだ内容の質問や意見が出やすい傾向が見られたとの話だ。
アバターによるやり取りのおかげで、質問に回答する側も緊張感がほぐれ、より具体的な内容を伝えることができたという。普段と比べても活発なコミュニケーションが取れたことが、双方にとってメリットだった。
メタバースという新しい技術を利用することに抵抗感が少ない若者がいるというデータが取れたことも、収穫だったとの話だ。