小中学校でのICT教育が進むなか、貸与されたタブレット・ノートパソコンを家に持ち帰る児童生徒の半数以上が、重くて通学が大変と訴えていることが、NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田)の調査で明らかになった。
2024年5月23日に発表した「【子ども】半数以上の小中学生は、タブレット・ノートパソコンが重く通学が大変になった」によると、4割強の小中学生が毎日タブレットまたはノートパソコンを家に持ち帰っている。
そうでなくてもランドセルの重さが問題になっている。複数の親と調査担当者に聞いた。
千葉県の熊谷知事のランドセル批判が話題に
ICT教育を広げるために文部科学省が2019年から始めた「GIGAスクール構想」によって、全国の児童生徒にタブレット端末やノートパソコンを貸与する動きが加速している。
学校から貸与されたタブレット・ノートパソコンを宿題など家で活用する機会も増えている。その分、通学時の負担軽減のため、教科書を学校に置いたままにする小中学校もある。また、ランドセルは法律で義務化されているわけではないので、軽いリュックにする学校も出始めた。
たとえば、2022年10月には千葉県の熊谷俊人知事が「ランドセルは高価なものが多く、そもそも機能的ではないので、そろそろ日本のランドセル主義は見直す時期です。祖父母の入学祝となっているのも高価路線に拍車をかけています」としたツイッター(現X)への投稿も話題になった。
モバイル社会研究所の調査(2023年11月)は、関東1都6県の小中学生とその600人が対象だ。
まず、貸与されたタブレット・ノートパソコンは家庭での利用も増えてきているが、小中学生にどのくらいの頻度で家に持ち帰っているかを聞いた。
「ほぼ毎日」が小学校高学年46%、中学生で42%。「週に2、3回」も含めると、半数以上の小中学生が家に持ち帰っている。全く家に持ち帰っていない子どもが約2割と、学校によってかなり差があることがわかる【図表1】。
続いて、家庭に持ち帰っている小中学生を対象に、「タブレット・ノートパソコンが重く通学が大変になったか」を聞くと、小学生高学年の6割強、中学生の半数以上が「大変なった」と回答した【図表2】。