「円安で為替介入」実は政府は大もうけ 肝心の効果は期待薄、円は弱くなっている

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理不尽な円安水準ではない

   私は、介入の効果は限定的であり、これで円安傾向が止まることはないと考えている。

   今回介入をした目的は、ドル円レートを適正なレベルに直す(円の価値を上げる)ことにある。逆に言えば、もしも円の実力が弱まったために円安になったのならば、それは実力相応であり、介入にはそぐわないことになる。

   現在のドル円レートは150円台の半ばを行き来している。2020年にはドル円レートは104円から109円くらいだった。ここ4、5年で3割程度円安に動いたということだ。

   この低下が、円の実力を反映しているのかどうかが問題となる。もしも円の実質的な価値(購買力)は大して下がっていないのにドル円レートが3割も下がったのならば、円安は行き過ぎと言っても良いだろう。そうであれば政府が介入することに大義があると言えそうだ。

   それを確認するためには、「円の実質実効為替レート」を見るのが有効だ。これは世界の中での円の実質的な購買力を示すもの。物価や賃金などを比較した数値で、他の通貨に対して円の価値が上がればこの数値は上がり、円が弱くなれば下がる。

   過去の動きを見ると、2020年の円の実質実効為替レートを100とした場合、今の円は実質的に70程度にまで下がっている。つまり円は外貨に比べて約3割、実質的な価値を下げた。「安い通貨」になったということだ。

   これは実感とも合う。例えば米国カリフォルニア州ではこの4月から、ファストフードの最低賃金が時給20ドル(約3100円)に引き上げられた。一方、マクドナルドの「ビッグマック」は日本で一個480円なのに対し、米国ではその倍近い5.69ドル(約880円)する。円の価値は米ドルの半分か、それ以下になってしまったように見える。

   これは日本がデフレ傾向で、物価や賃金がほとんど上がっていないために起きたことだ。一方で米国を中心とする国々はインフレ傾向が鮮明であり、物価も賃金もじわじわ上がってきた。そのため海外での日本円の購買力はどんどん下がってきたのだ。

   結局、現在のドル円の為替レートが150円台から160円というのは理不尽な円安水準ではなく、むしろ実態を反映する程度に下がったということではないか。そうであれば、政府が介入によって、いわば無理やりに上げようとしても難しい。

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