「デート費用を全く払わない」こともデートDVに該当すると内閣府の男女共同参画局の公式サイトに明示されていることがX上で話題になり、男性の全額支払いはDVになるのではないか、などと議論になっている。
実際は、全く払わないことが必ずしもDVに当たるわけではないらしい。どんなケースならDVに当たるのか、内閣府などの関係者に話を聞いた。
2018年3月から載っていた「デートDV」の項目が議論に
「デートDVって?」。男女共同参画局のサイトでは、こう題して、その種類を紹介している。
その中には、「精神的な暴力」「身体的な暴力」「性的な暴力」に加えて、「経済的な暴力」という項目があった。
今回、X上で注目を集めたのは、項目のトップにある「デート費用を全く払わない」という暴力内容だ。
このことについて、デート代を男性が全額支払うことはDVに当たると内閣府がお墨付きを与えたと解釈する投稿が、2024年5月下旬にX上でいくつか出回った。これらの投稿に、1000件ほど「いいね」が集まって拡散している。
投稿に共感する声としては、「今は共働きが当たり前やし男がデート代出すて時代遅れ」「奢って欲しい女性が加害者という事になりますね」「デート代は、割り勘でなければ暴力です」といった書き込みが見られた。
一方、「デート費用を全く払わないのが何で暴力なんだよ」「年齢差、所得差もあるからな」「男性のDV被害者がめちゃめちゃ増えてしまいそうだが」などと疑問を呈する向きもあった。
今回話題になった経済的DVの内容について、男女共同参画局の男女間暴力対策課は29日、J-CASTニュースの取材に対し、18年3月のサイト公開のときから掲載しているとしたうえで、次のように説明した。
内閣府「支払いを求められながら、一方的に払わせることがDV」
「こうした暴力は、男女を問わずにありえます。デート代を払わないということだけで、一律にDVだと決めているわけではありません。デート代の支払いを求められているものの、相手に一方的に支払わせることがDVに当たると考えられます。2人の関係性もありますので、あくまでもケースバイケースです」
デートDVの相談に乗っているある関係者は5月29日、取材に対し、こう話した。
「デート代を払わないことがイコールDVということではありません。お互いがそれでいいなら、DVにはなりません。相手に払わせたり、払って言うことを聞かせることがDVになりえます。例えば、『別れるなら、高級寿司店に行ったお金を返せ』などと迫るケースがあります。つまり、お互いが対等ではなく支配する関係にあるとき、DVだと言えるわけです」
なお、男女共同参画局が23年11、12月に行った「男女間における暴力に関する調査」の報告書によると、交際相手からの「経済的圧迫」は、「20 歳代にあった」の回答が最も多かったが、それでも全体の2.7%に留まっている。
相手男性をだましてお金を搾り取る「頂き女子」の話題に大きな関心が集まったが、まだ経済的DVへの認識が浸透しているとは言えない状況のようだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)