推し活支援を上手く取り入れることも、効果的な人事施策
――推し活をすると、「仕事に対して前向きになる」という人が4割以上いますね。しかも、経験者の96%が「幸福感が高まる」と答えています。この働くうえでの「推し活効果」をどう考えていますか。
川上敬太郎さん 推し活による仕事への影響を聞くと、「もっと収入を増やしたくなる」と回答した人が最も多くて半数近かったので、やはり推し活が就業意欲に影響を与えている面が多分にあるのだと感じました。経験者のほとんどが「幸福感が高まる」と答えたことについては、本当にすごい効果だと思います。
職場では社員のモチベーションを上げたり、エンゲージメントを高めたりするために試行錯誤していますが、最近、アニメ制作会社やテレビ番組制作会社、保育園などで、「推し活のための特別休暇」を設ける会社がいくつか出てきています。
今後は、推し活支援を上手く取り入れることも効果的な人事施策の1つになりそうです。
――なるほど。企業の推し活支援はいいアイデアですね。私はフリーコメントでは、私は「推しは推せる時に推せ」や「誰かを応援することで、自分も応援されるような人間になりたい」という言葉にググッときましたが、川上さんはどのコメントが響きましたか。
川上敬太郎さん ポジティブなコメントがたくさんあり、どれも読んでいて気持ちが晴れやかになりました。一方で印象的だったのは、「心の余裕とお金の余裕がなければ、出来ません」という言葉です。
推し活には幸福度を高める面がある一方で、日々の生活にゆとりがない状態では、時間もお金も推し活に割くことが難しくなります。
物価高をはじめ、さまざまな出費の増加が生活を圧迫する中で、推し活できる状態を保つことの難易度が高まっているようにも感じています。
――川上さんは、ズバリ、働く人々に推し活を勧めますか?
川上敬太郎さん 自分の周囲を見渡しても、推し活をしている人にはイキイキと人生を楽しんでいる印象があります。決して推し活の対象を無理に見つけるものではないと思いますが、推し活に興味がある方は一歩踏み出してみてはどうかと思います。
一方で、推し活が目的化すると、義務のように拘束されてしまい、素直な気持ちで楽しめなくなったり、冷静さを欠いて過度に入れ上げてハマると、却って不幸な状況を招いたりすることもあります。
推し活との付き合い方には、推しに対する想いに併せてバランス感覚も大切なのではないかと思います。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)