プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)が同級で無双している。
井上は22年12月の試合を最後に、バンタム級からスーパーバンタム級に転向。23年7月にWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(米国、29)を破り、同年12月にWAB・IBF同級王者マーロン・タパレス(フィリピン、32)と4団体王座統一戦を行い、10回KOで王座統一に成功。わずか2試合で4本のベルトを手にした。
井上の次戦候補はグッドマンと元世界王者ドヘニー
そして、24年5月6日には元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ、29)を6回TKOで下し、4団体の王座防衛に成功。すでにスーパーバンタム級で「敵なし」状態だが、年内は同級に留まり防衛戦を行っていく見通しで、次期防衛戦は9月に予定されている。
その次期防衛戦の対戦相手は、いまのところ未定。IBF・WBO世界スーパーバンタム級1位サム・グッドマン(オーストラリア、25)と元IBF同級王者で現WBO同級2位のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド、37)が候補に挙がっている。
このほかに、元WBA・IBF世界スーパーバンタム級王者でWBA同級1位ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン、29)が井上への挑戦権を保持しており、近い将来、対戦する可能性がある。
バンタム級に続いてスーパーバンタム級でも4団体王座統一を達成した「モンスター」。海外のボクシング専門メディアをはじめ、関係者やファンの間で注目されるのが「井上は何階級を制覇できるのか?」だ。
これまでライトフライ級、スーパーフライ級、バンタム級、スーパーバンタム級の4階級を制し、フェザー級に上げるのは時間の問題とみられる。井上にとって5階級目となるフェザー級にはどのような強豪が待ち受けるのか。
「ロペスがこの試合に勝つことに私の家を賭けてもいい」
主要4団体の世界王者を見てみると、WBAはレイモンド・フォード(米国、25)、WBCは亀田和毅(TMK、32)に勝利した経験を持つレイ・バルガス(メキシコ、33)が王座に君臨。そしてWBOは、ラファエル・エスピノサ(メキシコ、30)、IBFはルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ、30)がベルトを保持している。
この4王者の中で、井上との対戦に興味を示しているのがIBF王者のロペスだ。
ロペス陣営は、米ボクシング専門メディア「ボクシングシーン」(WEB版)の取材に対し、打倒井上に絶対の自信を見せたという。
記事では、ロペスのマネジャーを務めるフェルナンデス氏が「ロペスが井上をノックアウトすると思う。ロペスがこの試合に勝つことに私の家を賭けてもいい」と言い放った。ロペス自身も井上戦を望んでおり、Xに「井上尚弥が126(フェザー級)に昇格するのを静かに待っている」とのコメントを投稿した。
強打で知られるロペスは24年3月に阿部麗也(KG大和、31)を相手に防衛戦を行い、8回TKO勝利を飾り、3度目の防衛に成功。4度目の防衛戦としては、8月に元WBO世界スーパーバンタム級王者アンジェロ・レオ(米国、30)を相手に予定している。
ネリ「フェザー級に準備ができた」
ロペスは身体能力が高いファイターで、戦績は30勝(17KO)2敗。19年5月の黒星を最後に負けておらず、フェザー級王者の中でも危険なファイターだ。井上との対戦が実現すればハイレベルの打ち合いが期待できるだろう。
WBO王者エスピノサも注目の王者だ。
フェザー級では長身の185センチから繰り出すパンチは強力で、戦績は13年2月のプロデビュー以来、負けなしの24勝(20KO)。エスピノサは23年12月にWBO世界フェザー級王者ロベイシ・ラミレス(キューバ、30)を判定で破り、王座を獲得したばかりだ。
世界戦のキャリアという点においては、世界戦22戦の井上の足元にも及ばないが、エスピノサが世界王者としてどこまで成長するのか、今後に注目される。
4王者のほかに井上に敗れたフルトンとネリがフェザー級で待ち受ける。米ボクシング専門メディア「ザ・リング」(WEB版)によると、フルトンは6月15日にフェザー級で再起戦を行うという。一方のネリは5月12日にXを更新し「126(フェザー級)に準備ができた」とのコメントを投稿。両者は一足先にフェザー級に上がり、王座獲得を目指す。