うなぎ専門チェーン「鰻の成瀬」が、2022年9月の1号店開店から2年弱で150店舗を超える急拡大を遂げている。同店はうなぎ1尾分の「うな重」を2600円、半身分を1600円と、リーズナブルな価格で提供する。一般的な店では3500円~6000円で提供している場合が多い。
昨今は物価高騰により、多くの飲食店が値上げを検討せざるを得ない。また、うなぎの稚魚の不漁も報じられている。その環境下で、鰻の成瀬が急速な店舗拡大を実現し、低価格での販売を維持できている理由を取材した。
「一等地」で営業する必要がないワケ
鰻の成瀬が使用するニホンウナギの稚魚不漁について、日本経済新聞は24年4月30日付の記事で報じた。2024年度の東アジアにおける漁獲量は前年度比3割減で、5年ぶりの低水準だという。円安により、中国産かば焼きの輸入価格も高騰している。
創業者の山本昌弘社長に、J-CASTニュースBizが取材した。リーズナブルな価格で提供できる理由は、3つ。まず、海外で養殖されたニホンウナギを使っている。次に、商売に適した一等立地ではなく三等立地に多くの店舗を出し、初期費用や固定費を下げている。最後に、職人の代わりにおいしく提供できる機械を導入し、人件費を抑えている。
三等立地でも利益を出せるのは、うなぎという食材の特殊性によるものだ。他の飲食とは異なり、うなぎを目当てに来店する客が多いため、一等立地を選ぶ必要がないのだと、山本氏は話す。
職人を使わないことは、効率的なオペレーションも可能にする。専門的な技術を持つ人材の離職リスクを抱えることなく、人材の流動性が高まる中でも安定した店舗運営ができるのだ。