メディアが始まれば「ついPVを追いたくなってしまう」
企業のオウンドメディア制作やコンサルティングを受託するフリー編集者のAさんは、これらの調査結果に「オウンドメディアをめぐる状況がよく現れている」と評する。
「オウンドメディアの運営が止まるのは、KPIの設定が原因であることが多いんです」
Aさんによると、オウンドメディアの多くは社長などトップの「鶴の一声」で始まることが多いという。最初はメディアの名前を議論したり、企画のアイデアを出し合ったりして、楽しいムードで盛り上がることが多いらしい。
「しかし実際に記事が出てみると、事前にSNSなどでアクセス導線などを作っていない限り、読者はなかなか集まりません。そのうち社長が『ページビューが足りない』と言い出し、担当部署はしょうがなく『3ヶ月後までに◯万PVを達成します』と目標を掲げざるを得なくなるのです」
ページビューを追うためには、人の感情を動かすような「見出し(記事タイトル)」をつけることが求められ、「会社のイメージアップ」などの当初の目的からどんどん離れていく。それでもPVはなかなか伸びず、社長もイライラしてくる。
「そうなると、担当者だって嫌になりますよね。担当を外れたいと言い出すだけでなく、会社を辞めたいという人も出てきます」