「私の仕事って、いったい何?!」
上司のKさんいわく「赤ちゃんのように日々目覚ましく成長する」Yさんでした。もっとも、Yさん本人にとって、最初は苦戦の連続でした。
たとえば、新製品のニュースリリースを作成した時のことでした。
「K課長に提出すると、『このキャッチはインパクトがないから変えて』と戻されます。必死に考えて修正案を翌日見せに行くと、今度は昨日と違う意見を言われるんです。そんなことが何度もあり、何を言われているのかが理解できず、ワケがわからなくなりました。『私の仕事って、いったい何?! どうしたらいい?』って悩む毎日でした」(Yさん)
このやりとりについて、Kさんは次のように語っています。
「Yさんには、もっと広報の仕事の本質に目を向けてほしかったんです。キャッチコピー表現など細かい部分にばかりに目が行きがちですが、そんなことより、まず誰に何を伝えるかという明確な意図や目的を持ってほしかった。自分の中でそれさえしっかりすれば、社内調整で表面的な部分は状況に応じて変化させても内容はブレないはずです」(Kさん)
YさんがKさんのアドバイスを理解できなかったのは、Yさんが「仕事」ではなく、単に「作業」をしていたからだと、Kさんは言います。
「目的意識を持ち、それを成し遂げるために自分なりに創意工夫してこそ初めて『仕事』と呼べます。彼女の中に、何がしたいか、そのためには何をすべきか、という明確な意識を育んでほしかったんです」(Kさん)