「20代女性社員が成長を実感する企業ランキング」 ビッグ外資からローカル企業まで...共通の魅力は「平等」「実力主義」「透明な評価」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   働く女性の数は年々増加しているが、英経済誌「エコノミスト」が2023年11月に発表した「ガラスの天井」ランキングでは、日本は主要29か国中27位だった。

   そんななか、就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク(東京都渋谷区)が2024年5月21日、「20代女性社員がキャリア成長を実感する企業ランキング」を発表した。

   女性が働きやすい企業にはどんな組織風土、魅力があるのか。オープンワーク広報に詳しく聞いた。

  • 職場のチームワークがいい
    職場のチームワークがいい
  • 職場のチームワークがいい

トップ10に外資系7社、徹底的な実力主義

   OpenWorkは、社会人の会員ユーザーが自分の勤め先の企業や官公庁など職場の情報を投稿する国内最大規模のクチコミサイト。会員数は約620万人(2024年2月時点)という。

   OpenWorkでは、企業の評価を「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代成長環境」「人材の長期育成」「法令順守意識」「人事評価の適正感」の8つの指標を5段階で評価している。

   今回の調査は、若手女性社員の成長環境の評価が高い企業を探るべく、「20代成長環境」「人事評価の適正感」の3つの指標(各5点満点)でランキングを作成した。

   その結果、1位に米国に本拠を置く世界最大の一般消費財メーカーのP&Gジャパン、2位に米国に本拠を置く大手IT企業の日本マイクロソフト、3位に群馬県桐生市に本社を置く中古住宅のリフォーム・販売を手掛けるカチタス、4位に日本の総合人材企業リクルート、5位に英国に本拠を置くコンサル企業のPwCコンサルティング。

   さらに、6位にアイルランドのコンサル企業アクセンチュア、7位に米国のプルデンシャル生命保険、8位に米国のクラウド・コンピューティング・サービスのセールスフォース・ジャパン、9位に日本の総合商社双日、10位に米国に本拠を置く世界最大規模の会計事務所デロイト トーマツ コンサルティングが入った【図表】。

(図表)20代女性社員がキャリア成長を実感する企業ランキング上位30社(OpenWork作成)
(図表)20代女性社員がキャリア成長を実感する企業ランキング上位30社(OpenWork作成)

   上位10社中7社が外資系企業となった。社員クチコミで多く見られたのは「男女関係なく仕事に挑戦できる」「女性だから、といった考え方はない」「透明な評価」など、性差のなさへの言及だった。

   オープンワークでは、

「女性社員の評価が高い企業とは、『女性に優しい』『女性が優遇されている』ことではなく、『平等さ』への評価であると言える。また、外資系企業が多いのは、早くから多様な人材を受け入れ、ダイバーシティ&インクルージョン(個々の『違い』を受け入れ、認め合い、生かしていくこと)を推進してきたことが背景にあると考えられる」

と分析している。

「女性に優しい」「女性優遇」ではなく、「平等さ」を評価

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当したオープンワーク広報に話を聞いた。

――トップ10社に外資系企業が7社も入っています。「女性に優しい」とか「女性を優遇する」ではなく、「平等さ」に対する評価が高い結果だとありますが、具体的にはどういう企業風土なのですか。

オープンワーク広報 外資系企業のクチコミからは、仕事に挑戦する機会が多いこと、成績上位者に対する社内表彰でも男女比に偏りがない、といった声から男女差がない企業風土がうかがえます。

成果を求められるからこその厳しさを表すクチコミもありますが、柔軟な働き方を可能にする制度を活用して、出産や育児に対応し、仕事との両立を図っている様子が見てとれます。リポートに紹介していないクチコミとしてはこんな声が寄せられました。

P&Gジャパン「女性も男性も全く意識したことは一度もないです。男女格差はまったくなく、完全に実力主義なので女性でもやりがいを持って働くことができます。良くも悪くも実力主義なので、成果がしっかり出せていれば、子どもがいてもいなくても平等に評価されます」(マーケティング、女性)

日本マイクロソフト「社内的には、女性だから◯◯というような目でお互いを見ていないので、女性だから働きやすい/働きにくいはないと思います。求められる仕事は男女変わらない、結果重視、という意味ではフェアかと思います。
一方で、一般的に女性のほうが家庭環境やライフステージによる影響を受けやすくはあるので、工夫している社員は見かけます。産休復帰後のママさんや子どもが熱を出したママさんなど、午後休など使いながら、上手に仕事に取り組んでいます」(営業、女性)

プルデンシャル生命保険「女性が働きやすい職場ではあると思う。産前産後、育休、時短等の各種制度は充実しており、リモートワークも可能。活躍している女性管理職もたくさんおり、性差が原因で昇進できないことは決してない」(スタッフ、女性)

「性差を感じたことは無い」「男女ではなく自分次第」

――なるほど。「女性だから」ということは全くない、柔軟な働き方ができる制度が充実しているうえ、実力主義に徹しているという側面は、ランク入りした日系企業でも同様なのでしょうか。

オープンワーク広報 日系企業にも、「平等さ」に対して評価するクチコミが見られました。女性というだけで優遇や評価をされている、といった声ではなく、多くの場合には外資系企業で見られた傾向に近いことがうかがえます。

ただ、外資系企業のほうが組織風土や企業文化として、早くからダイバーシティ(多様性)を推進し、重んじていることがうかがえるクチコミは多い印象です。

カチタス「性差を感じたことはほぼ無い。表彰式でも女性のメンバーや管理職が表彰されていることが多く、成績上位者の半数は常に男女半々くらいのイメージ」(営業、女性)

リクルート「評価と機会は男女平等。担当したいクライアントも含め、自分のキャリアを積極的に発信していくことで、やりたい仕事を自ら作る/任せてもらう必要がある。ここは男女ではなく自分次第。女性特有のライフイベントに関しては非常に理解があるため、そこに関しては安心して働くことができていた」(営業、女性)

野村総合研究所「女性だから評価されない、昇進できない、仕事をもらえない、というようなことは全くありません。完全に男女平等で評価されます。まだ私は出産などのライフイベントを経験していないので判断できないですが、産休育休等の制度も充実しています。
徹底的な男女平等だからこそ、子育てと仕事のバランスを取るのが難しくなる可能性はありますが、男性の育休取得率も高まっている現代では、本人の価値観次第だと思います」(コンサルタント、女性)

ランク入り地方企業2社、女性の可能性とことん引き出す

――ところで、並みいる外資系企業や日系大手企業と伍して、地方に本社がある企業が2社ランクインしていますね。3位の不動産業「カチタス」(群馬県桐生市)と、28位の結婚式場業「アイ・ケイ・ケイ」(佐賀県伊万里市)です。
この2社は、どういう組織風土が若い女性から高い評価を得ているのでしょうか。

オープンワーク広報 カチタスは実力主義に徹しており、女性社員の比率が高いことがうかがえます。また、女性だからと優遇されることはないものの、女性の視点や強みを生かせることも女性社員の活躍を後押ししています。リポートに紹介していないクチコミでは――。

「女性と男性の割合が4対6程度。男尊女卑の風習は一切なく、営業成績に応じて女性管理職になれる」(営業、女性)

「近年では女性新入社員の割合が半数を占めている。不動産業者では非常に珍しい。女性独自の視点でリフォーム企画に携われる点、営業でも女性ならではの接客ができる点など、この会社では活躍の可能性が高いと感じる」(営業、女性)

「特に女性だからといってデメリットを感じたことはない。お客様の中では家計を奥様が握っておられることも多いので、むしろメリットがあると思う」(営業、女性)

アイ・ケイ・ケイは、女性社員が多く、目標となる存在やロールモデルがあり、意欲につながっていることがうかがえました。こんなクチコミが寄せられています。

「とても働きやすいと感じます。女性スタッフが9割ほどになるので、風通しがすごくいいと思います。上司も女性が多いため、何かあった場合は相談しやすい環境です」(ウェディングプランナー、女性)

「カムバック制度が充実している。社内はほとんど女性で、寿退社をする人より自分のスキルアップや、やりたいことのために退社する人が多い。育児休暇が終わったママさんたちはほとんど現場に戻ってくるので、社内の風通しも悪くない」(調理、女性)

「女性が多いので、キャリアアップも結果を出せばかなう環境にある。尊敬できる方々が上司にいるので、こんな風に自分自身もなりたいとモチベーションを高くいられる。性別、年齢、経験関係なく評価してもらえることはとてもよい」(プロデューサー、女性)

――調査を通じて「女性を成長させるためには、こういう企業であってほしい」という願いのようなものがありますか。

オープンワーク広報 ランクイン企業からは、性別に関係なく成果を求められるからこそハードに働く必要があり、家庭との両立には覚悟が大切だとする声も見られました。
育児や仕事との両立は女性だけが担う役割ではありませんが、女性のみが経験する妊娠や出産の際に、一定の負担が生じることは避けられません。家庭の状況や体力、キャリアプランは一人ひとり異なるからこそ、企業側も長期的な視野を持って支援をすることが求められると思います。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

姉妹サイト