2024年6月から物価高対策として実施される、定額減税。SNSでは「バラマキ」と言われ、その効果に疑問を呈する声も上がっている。
近年の類似例には、2009年の定額給付金、20年の特別定額給付金がある。実効性はあったのか、国やシンクタンクによる評価を調べた。
1人1万2000円を配った
定額減税は、6月1日以降最初に支払われる給与やボーナスに反映される。金額は1人当たり所得税3万円、住民税1万円の年間計4万円。扶養家族も対象になる。年収2000万円を超えている場合は対象外。一度で控除できなかった場合は、翌月以降も差し引かれる。
住民税は、6月分を徴収せず、減税分を差し引いた税額を7月から11回に分けて納める。
過去を振り返ってみよう。2009年に実施された、定額給付金。世界的な不況による景気の後退を受けて実施された。国民1人当たり1万2000円(18歳以下と65歳以上は2万円)を配った政策だ。経済効果はあったのか。
内閣府政策統括官(経済財政分析担当)の2012年の分析では、総務省が実施する「家計調査」の個票データを用いて検証。その結果、定額給付金によって、受給月に受給額8%に相当する消費が増加。他の月の分も合わせた累計では、受給額25%分に相当する消費増加があったと報告した。
消費支出の押し上げは2割程度
2020年の特別定額給付金では、新型コロナウイルスの感染拡大の経済対策として、国民に1人あたり一律10万円を配った。
内閣府政策統括官の2023年の分析では、家計簿アプリデータを活用して検証。支給5週間前から10週後までの累積の消費増加効果について、給付額の約22%だった。家計調査の個票情報の利用した検証でも、支給前月から2か月後までの効果は約17%だった。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストも、2020年8月に効果を試算。消費支出の押し上げは約2割程度だと報告している。定額減税の経済効果はどうなるのか――。