九州圏:中心の福岡は転入超過継続、ファミリー層のUターンか
中部圏とは対照的に、福岡県では毎年安定的な転入超過が発生しており、2023年も4千人超の転入超過となりました。
超過数自体はそれほど多くはありませんが、大学生および専門学校生が数多く転入し、19歳までの未成年者が増加し続けていることが賃貸住宅需要を支えています。
20~34歳の若年単身者層のみ転出超過(特に男性)となっているのですが、35歳以降のファミリー層は3000人以上の転入超過となっていることから、いったん東京や大阪で就職した後、結婚や出産を機にUターンしているケースが多いことが分かります。
新たな家族と共に福岡に戻って来るファミリー層の転入が多ければ人口の自然増にも期待が持てます。ですから、エリアの発展や経済的な活性化、もちろん今後の住宅需要の拡大には欠かせない条件といえます。
このように、圏域によって移動人口の世代別の動態が比較的大きく異なることが明らかになりました。
地域ごとの人流の傾向の違いは、今後の住宅関連ビジネスに大きく影響しますから、今後の動向にもぜひご留意ください。
【筆者プロフィール】
中山 登志朗(なかやま・としあき):LIFULL HOME'S総研 副所長・チーフアナリスト。出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。2014年9月から現職。