若年単身層は東京転入だが、ファミリー層は東京から転出のほうが多い
首都圏全体でこれだけたくさんの社会増があるのは、エリア活性化にとっては喜ばしいことです。ところが、実は、この移動人口を世代ごとに確認すると、さらに違いがあることが明らかになります。
すなわち、東京都では20~34歳の主に若年単身者層が都全体の転入超過数を上回る8.9万人を記録しているのに対し、35歳以上のファミリー層は2.8万人以上の転出超過となっているのです。
若年単身者層はコロナ明けで全国から流入しているのですが、東京にしばらく住んで家族を持ったファミリー層は積極的に東京から転出しているということになります。
その転出した人口は周辺3県、もしくはさらに外側の静岡県や北関東に転居しています。ですから、首都圏でのファミリー層の居住ニーズは、都心から郊外方面へと広く拡散していることがわかります。
これはコロナ後も主に子育て世帯に推奨されているテレワークの継続によって、オンもオフも自宅で過ごす時間が増えたこと。
そのため、より住環境の良好なエリアで子育てしながら、仕事も継続する世帯が増加していることの表れです。
したがって、都心周辺では主に単身者向け住宅のニーズが高まる一方、首都圏郊外およびその以遠となる準郊外エリアではファミリー向けの住宅の需要が顕在化しているのです。
コロナ前まではほぼ都心一極集中だった人口動態が、主にファミリー層において郊外化することは住宅需要の多様化につながります。
ということは、人流の変化をビジネスチャンスととらえることもできる状況といえるでしょう。