「SNS」が若者のニュース情報を得るメディア1位に Xから情報取得の中高年も増加...フェイク氾濫、大丈夫か? 専門家に聞いた

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   10代、20代の若い世代がニュース情報を得るメディアは、SNSが1位であることが、NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田区)の調査で明らかになった。

   2024年5月20日に発表した「ニュースを得ているメディア『テレビ』15年間横ばいで7割・『新聞』は減少傾向続き4割弱・10~30代のX利用者の約6割がXでニュースを収集」によると、SNSの中でも特にXからニュースを収集する割合が高い。

   SNSにはフェイクニュースが氾濫している。大丈夫なのか。調査担当者に聞いた。

  • 若い世代がニュースを得るメディア1位はSNS
    若い世代がニュースを得るメディア1位はSNS
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ニュース取得メディアで、SNSが新聞を抜いた

   モバイル社会研究所の調査(2024年1月)は、全国の15~79歳の男女6440人が対象だ。

   週1回以上アクセスし、日常的にニュース(報道情報)を得ているメディアを2010年から2024年までの推移でみると、「テレビ」の利用が最も多く、2010年から毎年7割台が「テレビ」からニュース情報を得ている。

   「新聞」は15年間で年々減少し、2010年には約6割(60.7%)がニュース情報を得ていたが、2024年には約4割(39.5%)まで低下した。代わりに台頭したのが「ソーシャルメディア」(SNS)で、2024年には42.9%と、「新聞」を追い越した【図表1】。

(図表1)ニュースを得ているメディア利用率の推移(モバイル社会研究所調べ)
(図表1)ニュースを得ているメディア利用率の推移(モバイル社会研究所調べ)

   現在(2024年)、ニュースを得るメディアを年代別にみると、10~20代では「SNS」がトップとなり、30~70代では「テレビ」が最も高い。特に70代では約9割が「テレビ」で、「新聞」は70代でも約7割弱になっている【図表2】。

(図表2)ニュースを得ているメディア利用(2024年)(モバイル社会研究所調べ)
(図表2)ニュースを得ているメディア利用(2024年)(モバイル社会研究所調べ)

   SNSからニュー情報を得る人が増えているが、どのSNSの利用者が多いのか。X(旧ツイッター)利用者の半数(50.0%)がニュースに使っており、次にLINEの約3割(30.7%)、Facebookの2割弱(16.6%)と続いた【図表3】。

(図表3)各SNS利用者:ニュース情報を収集している割合(モバイル社会研究所調べ)
(図表3)各SNS利用者:ニュース情報を収集している割合(モバイル社会研究所調べ)

   そこで、X利用者の年代別に深掘りしたのが【図表4】だ。10~30代のX利用者の約6割がXでニュース情報を収集。40代でも約5割、50~70代で約4割がXでニュース情報を得ていることが判明した。Xの利用率がかなり高いことがわかる。

(図表4)年代別:X利用者で「Xでニュース情報を収集している」割合(モバイル社会研究所調べ)
(図表4)年代別:X利用者で「Xでニュース情報を収集している」割合(モバイル社会研究所調べ)

なぜスマホの新聞記事は読まれないのか?

   今回の結果について、J‐CASTニュースBiz編集部は調査を行なったモバイル社会研究所の佐藤仁さんに話を聞いた。

――SNSでの誹謗中傷、およびフェイクニュースの拡散が問題になっていますが、今回の調査、特に10代と20代でニュースを得るメディアの1位がSNSであるという結果に、私は個人的に大いに心配していますが、担当者としてどう考えていますか。また、まずSNSでニュースを見る若者は今後も増えるのでしょうか。

佐藤仁さん 若年層にとって身近であり、常に手に持っているスマホで、すぐにニュース情報を得られやすいのがSNSだと思います。これからも若年層でのSNSからのニュース情報取得は増加すると思います。

若年層だけでなくあらゆる世代において、SNSで大量に氾濫している記事が事実なのか、フェイクニュースなのかを判断できるようになるためのメディアリテラシーを身に着けていくことが重要になっていくと考えます。

――メディア利用率の15年間の推移をみると、「新聞」の凋落が激しいですが、それと同時に「パソコンや携帯でのWebサイト・アプリ」の落ち込みも目立ちます。
Webサイトの中には、新聞社のデジタル化推進によって、新聞記事(テレビ報道記事も含む)の配信も含まれております。
SNSよりははるかにファクトチェックを行なっているメディアの記事がスマホでも読まれるはずなにの、読まれる頻度が減っていることが残念です。どういう理由からでしょうか。

佐藤仁さん 新聞紙(紙の新聞)でのニュース情報取得は年々減少していますが、ご指摘のように新聞社の書いた記事がデジタル化されたWebやアプリで読まれていると思います。

シニアの方は若い頃から新聞紙(紙の新聞)で記事を読むことに慣れているでしょうが、特にデジタルネィティブの若年層は、新聞紙(紙の新聞)で記事を読んでニュース情報を得る習慣がないのではないでしょうか。

そのため、Web上に新聞社の記事が掲載されていても、「新聞社の記事だから読んでみよう」と思わないのではないでしょうか。また若年層はSNSでのさまざまな情報に接触する機会が多いため、SNSからのニュース情報の取得も多くなっているのだろうと思います。

「ニュースを見るぞ!」と意気込んだ意識(スタンス)でニュースを見るというよりも、「SNSにニュースもあるから、なんとなく読んでいる」という感覚に近いものかもしれません。

Xがニュース情報取得で、LINEより人気の理由

――なるほど。それにしても、SNSの中ではXの利用率が非常に高いですね。年代別に見ても50代以上でも、4割近くの人がXからニュース情報を得ていることは、70代の私としては個人的に驚いています。
Xにはニュース情報取得の面で、ほかのSNSにないメリット、あるいは利用法によっては役に立つことがあるのでしょうか。

佐藤仁さん Xではニュースサイトやメディアが発信したニュースを見るだけでなく、知人や友人がXでニュース情報を発信したりコメントしたりするのを見る機会がLINEよりも多いのだと思います。

また、Xでは関連する記事や情報、その人の好みに合わせた記事や情報が「おすすめ」として表示されることがありますので、ニュース情報に接する機会もLINEより多いのではないでしょうか。

さらにXでは自分が興味あるニュース記事にコメントを書いて拡散させることも容易なので、多くの人にニュース記事に対する自分の意見を主張しやすいのも要因の1つではないでしょうか。

――今回の調査で、特に強調しておきたことがありますか。

佐藤仁さん 70代の9割、60代の8割、50代の7割がテレビでニュース情報を得ていますが、10代と20代はSNSのほうがテレビよりも多いです。

テレビから情報を得ているのは15年間で全体の7~8割程度で、新聞のように大きく減少はしていませんが、今後テレビからニュース情報を得るのが、どのような傾向が見られるか注目していきたいです。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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