なぜスマホの新聞記事は読まれないのか?
今回の結果について、J‐CASTニュースBiz編集部は調査を行なったモバイル社会研究所の佐藤仁さんに話を聞いた。
――SNSでの誹謗中傷、およびフェイクニュースの拡散が問題になっていますが、今回の調査、特に10代と20代でニュースを得るメディアの1位がSNSであるという結果に、私は個人的に大いに心配していますが、担当者としてどう考えていますか。また、まずSNSでニュースを見る若者は今後も増えるのでしょうか。
佐藤仁さん 若年層にとって身近であり、常に手に持っているスマホで、すぐにニュース情報を得られやすいのがSNSだと思います。これからも若年層でのSNSからのニュース情報取得は増加すると思います。
若年層だけでなくあらゆる世代において、SNSで大量に氾濫している記事が事実なのか、フェイクニュースなのかを判断できるようになるためのメディアリテラシーを身に着けていくことが重要になっていくと考えます。
――メディア利用率の15年間の推移をみると、「新聞」の凋落が激しいですが、それと同時に「パソコンや携帯でのWebサイト・アプリ」の落ち込みも目立ちます。
Webサイトの中には、新聞社のデジタル化推進によって、新聞記事(テレビ報道記事も含む)の配信も含まれております。
SNSよりははるかにファクトチェックを行なっているメディアの記事がスマホでも読まれるはずなにの、読まれる頻度が減っていることが残念です。どういう理由からでしょうか。
佐藤仁さん 新聞紙(紙の新聞)でのニュース情報取得は年々減少していますが、ご指摘のように新聞社の書いた記事がデジタル化されたWebやアプリで読まれていると思います。
シニアの方は若い頃から新聞紙(紙の新聞)で記事を読むことに慣れているでしょうが、特にデジタルネィティブの若年層は、新聞紙(紙の新聞)で記事を読んでニュース情報を得る習慣がないのではないでしょうか。
そのため、Web上に新聞社の記事が掲載されていても、「新聞社の記事だから読んでみよう」と思わないのではないでしょうか。また若年層はSNSでのさまざまな情報に接触する機会が多いため、SNSからのニュース情報の取得も多くなっているのだろうと思います。
「ニュースを見るぞ!」と意気込んだ意識(スタンス)でニュースを見るというよりも、「SNSにニュースもあるから、なんとなく読んでいる」という感覚に近いものかもしれません。