決定時点で「規模が小さく、遅い」と主張していた
筆者は、今回の定額減税について、決定された23年10月の段階で、「規模が小さく、遅い」と断じ、せめて23年12月にすべきだったとしている。その当時から、今通常国会の解散・総選挙があり得るので、23年12月に実施すべきを、24年6月に後回しするともうわさされていた。
筆者としては、23年12月に定額減税しておけば、今1-3月期のGDP速報で、民間消費を含む民間経済需要が総崩れになり、全体でも前期比年率2.0%減という惨めな数字にならなかったと思っている。政策タイミングにおいて完全な失敗である。
要するに、今回の定額減税は、選挙というタイミングを優先し、経済政策としてのタイミングを無視したから、筆者は批判せざるを得ない。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。