政治資金は非課税かつ領収書なしなのに、定額減税は給与明細に減税額を明記することが義務付けられた。民間ではインボイスでも1円もきっちり書くし、もちろん領収書なしでは経費にならないので、かなり事務負担になっている。それに加えて給与明細に減税額を書けとなると、民間会社の給与担当者はかなり頭に来るだろう。政治家と民間の格差は、なぜこんなに大きいのか。
もし総選挙があれば、ということで仕組まれた話であるのはミエミエ
政治資金が非課税とは、正確に言えば政治団体が政治活動に使用する資金が非課税ということだ。政治家個人では政治活動に関して受けた政治資金については、雑所得となり、他の所得と合算して課税対象になる。ただし、この雑所得の計算では、政治活動のために支出した経費は控除する。もっとも、このあたりは、民間企業は領収証がないと経費にならないが、政治家では政治資金で領収書なしでも構わないとされ、それほど厳格に経費認定されていないようだ。こうした政治と民間の格差にも腹立たしい。
さらに、今回定額減税について減税額を給与明細に明記しなければならないときた。その義務の根拠は何か。給与明細を従業員に交付しなければならないというのは所得税法第231条に規定されているが、その中身は財務省令である所得税施行規則だ。その財務省令は、この3月31日に出された。さすがに、財務省令は国会ではなく財務省だけの判断だけで発出できるので、国民はそれに従わなくても罰則までをくらうことはないだろう。なので、林芳正官房長官もお願いしている、と低姿勢だ。
しかし、もし総選挙があれば、ということで仕組まれた話であるのはミエミエで、事務負担を課した上に国民をいらだたせている。