セミナーにエントリーした日本人就活生が名前だけで留学生だと判断され、「弊社では留学生さんの採用はおこなっておりません」と届いた――。その後、就活生は「名前のみで留学生だと判断されたこと、非常に残念に思います」と返信した。そんなポストが2024年5月20日、Xに投稿され、21日時点で8万8000「いいね」、9000回リポスト(拡散)、2452万回以上表示され、反響が広がっている。
J-CASTニュースの取材に応じた就活生は、「自分のアイデンティティを否定された気持ちになりました」と胸中を明かした。
「スカウトメールをお出ししておきながら、大変申し上げにくいのですが...」と断りのメールが
話題となっているのは、就活生であるXユーザー「ぱんけーき@25卒」(@shafu_pancake)さんが公開した、ある企業とのやりとりのメールだ。
セミナーにエントリーしたところ、人事部から次のようなメールが届いた。
「こんにちは
エントリー、セミナーエントリーありがとうございます。
スカウトメールをお出ししておきながら、大変申し上げにくいのですが、弊社では留学生さんの採用はおこなっておりません。
誠に申し訳ありませんでした。
なにとぞ、ご了承願います」
投稿者は「敬語とかぐちゃぐちゃになっちゃったけど言いたいことは伝えられた 朝から気分最悪」とコメントし、返信を公開。「名前のみで留学生だと判断されたこと、非常に残念に思います」との件名で次のように返信した。
「結論から申しますと、私は日本人です。
留学生ではございません。
私はナイジェリアにルーツを持ちますが、
日本生まれ日本育ちで、日本国籍を持っております。
件名でも申し上げましたが、名前のみで外国人だと判断されたこと、非常に残念に思っております。
2年ほど前に吉野家でも同じことが起こったのはご存知でしょうか?ニュースでも取り上げられるほど吉野家が行ったことは重大な失態であったと記憶しております。見た目や名前で外国人であるか否かを判断するのはとても失礼なことです。今後二度となさらないようお願いいたします。
今回は貴社へのエントリーは辞退させていただきます。そしてこの件は学校に共有いたしますので、ご了承いただけますようお願い申し上げます」
投稿者が言及した吉野家の事案は22年5月に起きた。吉野家の採用担当者から、「外国籍」を理由に就職説明会の予約をキャンセルすると一方的なメールが来たとする画像がXで拡散された、というものだ。この時の投稿者は日本国籍を持っており、吉野家の対応に不快感を訴えていた。吉野家は、メールを送った事実を認め、「いつもは国籍の確認をしていますが、今回は漏れてしまって申し訳ございませんでした」と謝罪した。
その後企業からは謝罪の連絡が
その後、企業から「この度は大変申し訳ございませんでした。今後の対応を改めて参ります」との件名で次のような返信が来た。
「この度は弊社の対応で不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。
この件については弊社の中で重く受け止め、今後の対応を改めて参ります。
吉野家でのニュースも拝見いたしました。
弊社の行為は大変恥ずべき行為だったと認識しております。
この度は大変申し訳ございませんでした」
投稿者は「名前ひとつでその人の国籍を判断するのはとても失礼なことだってわかって欲しい」とXに書き込んでいる。
一連の投稿に対しては次のようなコメントが寄せられている。
「これはコンプライアンス的に問題。時代錯誤過ぎる」
「私も親がどちらも外国にルーツあるけど、日本生まれ日本育ち日本国籍だから、この方の気持ちすごくわかる」
「採用担当長くやってましたが、こんな返信ありえないです。非常識にもほどがありますね」
「『留学生さん』って...」
21日にJ-CASTニュースの取材に応じた投稿者によると、投稿者は関東地方在住の20歳の女性。音楽系の専門学校に通っている。企業とのやり取りは20日に行われた。IT業界の会社だという。
名前だけで留学生だと判断されたことについては、「自分のアイデンティティを否定された気持ちになりました」と吐露した。今回のやり取りを自分が通っている専門学校の就職支援担当者に明かしたところ、「とても酷い、あってはいけないことだ」と話していたという。さらにXでは、「担任の先生に話したらすごく引いてた」とも明かしている。
企業に対しては「このような対応は二度とやらないで欲しい」と訴えた。