「どれを選ぶか」店にいること自体が客の楽しみ
――なるほど。しかし、100円ショップは海外生産品が大半ですから、円安の進行は痛いですね。値上げするわけにいかないでしょう。
飯島大介さん 同じ値段の商品でも、コロナの時に比べ、現在は中身が全然違います。たとえば、綿棒はひと箱200本だったのが100本、軍手も一束8組だったのが4組といった案配です。いわゆる「ステルス値上げ」をしなければ利益が得られないほど追い込まれています。
――そこで、ダイソーなどは「ちょっといいのが、ずっといい。」をキャッチフレーズに、東京銀座や渋谷、大阪梅田などに300円が中心の「スタンダードプロダクツ」を次々とオープンさせているわけですが、こうした流れが100円ショップの主流になるのでしょうか。
飯島大介さん 商品を安く仕入れることが難しくなった今、300円ショップの流れは加速しています。
プチプラの化粧品など500円クラスの価格帯や、独自のデザインのモノもどんどん開発しています。これが1000円の価格帯に近づくと、無印良品やドラッグストアなどと競合して激しい競争になるでしょう。
しかし、100円ショップはワンプライス(=100円)であることが魅力であり、強みでした。8万~9万ある豊富な品数の中で、安くて便利で気軽に使い捨てできるもの......。「どれを選ぶか」と店の中にいること自体が客の楽しみだったわけです。
その「100円」の看板を降ろしてしまうのか。難しい決断を迫られて、「100円ショップ」は揺れています。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)