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PFP2位後退の井上尚弥、なぜウシクに1位の座を奪われたのか? 識者が分析「両者の実力差というよりは...」

   米国の歴史と権威あるボクシング専門誌「ザ・リング」(WEB版)が2024年5月20日、プロボクシングの最新パウンド・フォー・パウンド(PFP=階級の垣根を超えた最強を決めるランキング)を発表した。

  • ネリを下した井上尚弥(写真:ヤノモリ/アフロ)
    ネリを下した井上尚弥(写真:ヤノモリ/アフロ)
  • ネリを下した井上尚弥(写真:ヤノモリ/アフロ)
  • ヘビー級4団体統一王者・ウシク(ウシクのインスタグラムより)
  • 井上の対戦候補グッドマン(グッドマンのインスタグラムより)
  • グッドマン陣営(グッドマンのインスタグラムより)
  • 井上の対戦候補ドヘニー(ドヘニーのインスタグラムより)

「両者の直近の対戦相手の差だと思います」

   1位だったスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)が2位に後退し、ヘビー級4団体統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ、37)が1位の座に就いた。

   ヘビー級3団体統一王者だったウシクは5月18日にWBC同級王者タイソン・フューリー(英国、35)を判定で破り4団体の王座を統一。これが反映されたとみられる。

   今後、海外メディアで独自のPFPが作成されるとみられる中、「ザ・リング」のPFPはボクシングファンの間で大きな話題となった。

   ウシクが1位に躍進し、井上が2位に後退した要因はどこにあるのか。J-CASTニュースは、多くの世界王者を育てたTMKジムの金平桂一郎会長(58)に分析してもらった。

   井上は5月6日に元世界2階級制覇ルイス・ネリ(メキシコ、29)を6回TKOで破り、4団体王座の防衛に成功。このタイトルマッチの内容が評価され、「ザ・リング」が5月10日(日本時間)に更新したPFPで約2年ぶりに1位に返り咲いた。

   1位の座を奪回したのもつかの間、その10日後にウシクにトップの座を奪われた。

   このような背景を踏まえ、金平会長は「今回は井上選手とウシク選手の実力差というよりは、両者の直近の対戦相手の差だと思います」と切り出し、両者のランキングの差の要因に言及した。

「ヘビー級は別格である」

「井上選手が元世界2階級制覇のネリ選手を相手に素晴らしい試合をしたのは確かです。これに対して、無敗のウシク選手は無敗のタイソン・フューリー選手と対戦して接戦を制しました。井上選手、ウシク選手の両者を比較するとすれば、おのずと対戦相手の質ということになってくるでしょう。指標として分かりやすい」

そしてこう続けた。

「2位に落ちたのは井上選手の実力とかではなく、たまたま同じ時期にヘビー級の4団体統一戦が行われただけのこと。もうひとつ言えば、ヘビー級は別格であるというところはあると思います。ビジュアル的な迫力を含めて、今回は仕方がないのかなと思います」

   井上は22年6月に行ったバンタム級3団体王座統一の勝利を評価され、直後に更新された「ザ・リング」のPFPで日本人史上初の1位に輝き、歴史的快挙を達成した。

   同メディア以外の海外ボクシング専門メディアのPFPでも1位にランクされ、世界の「モンスター」として評価された。

   巻き返しが期待される井上の次期防衛戦は9月に予定されており、IBF・WBOスーパーバンタム級1位サム・グッドマン(オーストラリア、25)と元IBF世界スーパーバンタム級王者テレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド、37)が対戦候補に挙がっている。