5月の連休が明け、業務が再開する中で「最近の新入社員や新人に元気がない気がする」と感じることもあるかもしれない。そんな時はいわゆる「五月病」を疑った方がいいのかもしれない。
では、5月の連休明けに心身の不調を感じる「五月病」の部下や後輩を見つけた時、管理職や先輩社員はどのような働きかけをすればよいのか、新入社員ができる対策はあるのか。識者を取材し得た。
「やる気が出ない」「気持ちの落ち込み」「身体がだるい」
障害や福祉サービスに関する情報サイトを運営するmanabyが2024年4月26日に、5月病に関する調査結果を発表した。対象者は「五月病の経験のある人」で、調査人数は311人(男性:99人(31.8%)、女性212人(68.2%))。
それによると、五月病としてどんな症状が出たか聞くと、1位は「やる気が出ない」(218票)、2位は「気持ちの落ち込み」(188票)、3位は「身体がだるい」(178票)という順位になった。
このほかにも、「不安」(5位)や「注意力の低下」(6位)、「食欲不振」(9位)なども挙がっており、業務に支障も出てきそうだ。
また、産業医サポートサービスなどを行う「さんぎょうい」のコラム(22年12月23日付)
によると、「5月病とは、新入社員や異動した社員など、大きな環境の変化を迎えた人が、ゴールデンウィーク明けくらいの時期に気分の落ち込みや意欲の低下などにより仕事に影響が出るような状態を言います」と説明している。5月の連休によって、張りつめた緊張の糸が切れることも要因だという。
こうした部下や後輩の五月病。もし自分がそうなったら、どう対処したらいいか。また、上司や先輩などの立場の人は、どのようなサポートが必要だろうか。前述のコラムを担当していた、心理師の佐倉健史氏を取材した。
「自分は五月病かも?」と感じたら...4つの対処法は
まず、「自分は五月病かも?」と感じたらどう対処したらいいか。
佐倉氏は4つの対処法を挙げた。
(1)「5月病の症状とその程度を確認する」
(2)「専門家に相談する」
(3)「人とつながる」
(4)「休む」
なかでも「専門家に相談する」では、「五月病で仕事や生活に支障が出ている状態がほぼ毎日2週間を超える場合はクリニックを受診すべき」という見解がある、と佐倉氏。専門家に相談して適切な治療を受けることで、徐々に症状が緩和されていくという。
また、「人とつながる」では、「気持ちの症状は気持ちからアプローチすることで改善することがあります。一緒にいて楽しいと思える人、安心できる人に思い切って連絡を取りましょう。効果としては、気持ちが落ち着いたり楽になったり前向きになれたりします」と話した。
新人の不安に寄り添い、環境を整えるサポートを
続いて、上司や先輩などの立場の人は、どのようなサポートが必要か。
5月病になっている新入社員や新人に上司や先輩社員にできることを聞いた。佐倉氏は
(1)「状況や気持ちを理解してあげること」
(2)「仕事の面でのサポート」
(3)「健康面の確認と専門家への橋渡し」
の3点を挙げた。
「仕事の面でのサポート」では、いかに本人が安心して業務に取り組めるような環境にしていくかということがポイント。
「本人が困っていること、不安に思っていることを丁寧に聞きとり、一緒に考えてあげるという姿勢でサポートすると良いでしょう」
また、「健康面の確認と専門家への橋渡し」では、「受診の目安を超えているのに本人が医療機関にも社内の専門家にも相談に行こうとしない場合は、ご自身が人事や社内の専門家に対応を相談しましょう」と指摘した。