沖縄県石垣市の尖閣諸島の周辺海域を訪れた自民党の稲田朋美幹事長代理らが2024年5月16日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見した。現場では、接続水域や領海への侵入を繰り返す中国海警局の船と、海上保安庁の巡視船が応酬する場面もあったといい、稲田氏は「非常に緊迫した状況にある現実を、日本の国会議員は実際に見る必要があると思った」と訴えた。
中国船の存在を確認したのは早朝4時。無線で「ここは中国の古来の領土だ、出ていけ、アウト!」などと呼びかけてきたといい、「私はもう本当に怒りましたよ、(はらわた)煮えくり返っていますから......」と振り返っていた。
多くのごみが漂着、ヤギの影響で草木が減少
稲田氏ら自民の議員連盟「尖閣諸島の調査・開発を進める会」メンバー4人と、日本維新の会の和田有一朗衆院議員が、尖閣諸島を行政区域に含む石垣市が行った環境調査に同行する形で、4月27日に周辺海域を訪問した。
環境調査を委託された東海大の山田吉彦教授によると、魚釣島の海岸には多くのごみが漂着し、ヤギの影響で草木が減少して荒廃が進んでいるという。12年にも尖閣諸島の周辺海域を訪問したことがある山田宏参院議員は、当時よりも自然環境、中国の対応の両面で事態が進行していることを指摘した。
「その当時と比べ、ヤギの害なのか、山の崩落等、かなり魚釣島の山肌が広がっているようだ。国有地でありながら、一切人の手を入れずに、ただ放置に任せている国の対応に改めて問題を感じた」
「私達の調査船に並走した中国の海警船は、魚釣島にわずか1キロメートルまで近づくなど、12年前に比べかなり大胆な行動をとるようになっていると思った」
山田議員によると、目視で確認できた海警船は2隻だったのに対して、海保は11隻で対応。「かなり厳重なブロックをしており、中国船は手も足も出ない状態だった」が、
「このように我が国の領海を深くまで侵入を許していることは、中国の(少しずつプロセスを進めていく)サラミ戦略が功を奏していると言わざるを得ない」
「もはや現状の対応を続ける限り、尖閣諸島は我が国固有の領土であるという主張そのものを、国際社会が疑う事態になりかねない」
などと今後の動向を懸念した。その上で、ごみの撤去など「最低限の管理保全事業」や、自然環境や海洋環境保全のための調査を「国の責任」で行うことが急務だとした。