「胸が詰まって何も言えなかった」早期離職した部下と10年ぶり再会 新米上司時代の苦い経験こそ「成長の糧」

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「クイックウイン・パラドックス」の罠に陥らない

「でも、感謝するのは私のほうなんだ。ありがとう。君とぶつかる日々で、実は私のほうが上司として育ててもらったんだ」

   そんなふうにAさんは、心の中でそっとつぶやいたのです。

   仕事は、人と人との関係の中で成り立ちます。そして、まだ未成熟の若者と対峙する上司は相当のエネルギーを要します。

   ことに、OJTに多くの時間がかかったり、ミスやトラブルに際し厳しい注意や指導が必要な瞬間があったりすれば、エネルギーを吸い取られるように感じることもあります。

   しかし、実は、自分のほうが部下である若者から多くのエネルギーをもらい、上司として育ててもらっていたのではないか。自分が苦労した分だけ、上司として成長できたのかもしれない...。

   今のAさんは、そんなふうに感じているそうです。Y君との苦い経験を経たAさんは、その後、上司としての反省や、自分を磨く道が見えたとも語っています。

   Aさんのエピソードから学べる点について、いくつか触れておきましょう。

   ひとつは、新任上司であった当時のAさんは、いわゆる「クイックウイン・パラドックスの罠」に陥っていたということです。

   すなわち、部下のY君を一日も早く育成し、成果を出そうと焦るがゆえに、逆に自分とY君を袋小路に追い込んでいたのです。

   上司が部下に対し、いくら「正解」を説いても、腹落ちしていない相手にとっては不可解でしかなく、疑念や反発が増すばかり。そうではなく、遠回りに感じても、本人自身の気づきを引き出すことが大事です。

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