プロボクシングの元世界3階級制覇ジョンリル・カシメロ(フィリピン、35)の元トレーナーであるノノイ・ネリ氏が、世界タイトル戦から遠ざかっているカシメロの現状を嘆いている。地元フィリピンメディア「デイリートリビューン」(WEB版)が2024年5月8日に報じた。
20年4月に井上と対戦予定も中止に
ネリ氏が嘆いているのは、スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)との対戦がいまだ実現していないことだ。
両者はともにバンタム級の世界王者時代の20年4月に米ラスベガスで王座統一戦を行う予定だった。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期に。その後、両陣営が再び交渉に入ったが決裂し、試合そのものが中止となった。
その後、両者のキャリアは明暗を分けた。
井上は22年12月に念願のバンタム級4団体王座を統一。23年12月にはバンタム級に続いてスーパーバンタム級でも4団体の王座統一に成功した。
一方のカシメは井上戦が消滅後、WBO世界バンタム級王座を2度防衛(計4度)するも度重なる試合キャンセルのため、22年5月にWBOから王座をはく奪された。無冠になってからは世界タイトル戦の機会に恵まれず、3試合をこなし2勝1分けだ。
「カシメロは格下相手に地味な試合をこなしている」
かつてカシメロのトレーナーを務めていたネリ氏は「デイリートリビューン」に対して、「カシメロはボクシングのことを何も知らない人たちに囲まれている」と現状を説明。記事によると、現在カシメロの代理人は日本人のマネジャーが務め、トレーナーとして実弟が指導しているという。
カシメロは現在3団体でスーパーバンタム級の世界ランキングに入っている。WBOで4位、IBF9位、WBCは10位にランクインしている。
記事では「カシメロはまだ世界ランカーだが、MPプロモーションとの関係を断って以来、目立った試合には出ていない。その代わりカシメロは格下相手に地味な試合をこなしている」とし、「今のところ試合の予定はない」と指摘した。
カシメロの実力を知るネリ氏は「カシメロこそ井上を倒せる男だ」と断言し、「カシメロはパワーがあり、素晴らしいショットを決めることができる」と絶賛。
一方、記事では「井上陣営は、20年4月にラスベガスで井上と対戦する予定だったカシメロとの対戦には興味がないようだ」との見解を示した。
井上は5月6日に東京ドームで元世界2階級制覇のルイス・ネリ(メキシコ、29)を6回TKOで下し、次期防衛戦は9月にサム・グッドマン(オーストラリア、25)を相手に行われる見込みだ。