大井町線と東横線、環境や条件の違い
大井町線は、現在は田園都市線に向かうメインルートではない。渋谷で東京メトロ半蔵門線と直通している本線のほうが、メインのルートである。しかも大井町駅は、頭端式ホームで「Q SEAT」が改札から距離がある。
いっぽう東横線は、渋谷から横浜に向かう東急電鉄のメインルートである。利用者の多い渋谷駅でさえ、東京メトロ副都心線との直通運転を前提とした島式ホームであり、さらには改札階に行きやすい階段やエスカレーターがあるところの車両が混雑しやすいことになっている。
さらに東横線は、それほど長距離の路線ではない。渋谷から横浜まで24.2km。駅間距離も長く、速達性が高い路線である。大井町線(と田園都市線)で大井町から長津田までは26.6kmと、こっちのほうが長距離である。
また全駅で乗降が可能というのも、大井町線「Q SEAT」が乗降駅を分けているのと対比すると、乗客の快適性の面で難がある。
座席指定サービスの車両を減らすということは残念なものの、本数を増やすことで再起していただきたい。東横線の路線条件を考えれば、決して悪いサービスではないはずだ。(小林拓矢)
筆者プロフィール
こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。