「ヴィトンで爆買い」中国人パワー健在 訪日旅行者数は韓国人の6割も買い物額では圧倒

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欧州高級ブランド、日本が絶好調の理由

   欧州の高級ブランドの決算からも、中国人が日本で高額品を購入していることが分かる。

   ルイ・ヴィトンやセリーヌを傘下に持つ仏LVMHは2023年 4~6月の売上高が北米市場で前年同期比1%減少した一方、日本では同29%伸びた。ジャン・ジャック・ギオニ最高財務責任者(CFO)はその理由を「中国人旅行者の欧州での消費はまだ回復していないが、日本では急回復しており、コロナ前の2019年の水準に近づいている」と語っていた。筆者は2023年4月に都内にあるヴィトンの店舗を訪れたが、中国語を話すスタッフがカバンをいくつも持ってきて「月に2、3回は買いに来ている」と話す中国人を接客していた。

   LVMHが4月16日に発表した2024年1~3月期の売上高は前年同期比2%減少し、日本を除くアジア(つまり、主に中国のことだ)の売上高も同6%減少したが、日本市場は同32%伸びた。ギオニCFOはこの時も「中国人による世界需要が前年同期比約10%増加し、特に日本市場の伸びに影響した」と分析し、中国人が自国ではなく日本で買っているとの見解を示した。

   グッチやサンローランを傘下に持つ仏ケリンググループは2023年10~12月期の決算説明会で、「中国の旅行者は日本市場に大きな貢献をしている」と述べた。

   同グループは売上高の半分近くを占めるグッチが不振に陥っている。2024年1~3月のグッチの売上高はアジア太平洋(同28%減)、西欧(同15%減)、北米(同18%減)が2ケタ減となったのに対し、日本だけが同7%増えた。

   サンローランの売上高はアジア太平洋が同12%減、西欧が横ばい、北米が同6%減で、日本は同34%増。決算資料には「日本で力強い成長」と記載されている。

グッチとサンローランの2024年1~3月期の業績:https://www.kering.com/api/download-file/?path=Kering_Presentation_Q1_24_a82b507321.pdf
グッチとサンローランの2024年1~3月期の業績:https://www.kering.com/api/download-file/?path=Kering_Presentation_Q1_24_a82b507321.pdf

   プラダやミュウ ミュウなどを展開する伊プラダ・グループの2024年1~3月の地域別売上高はミュウ ミュウの好調を背景にアジア太平洋(日本を除く)が同16%増、欧州が同18%増、アメリカが同5%増、中東は同15%増といずれも伸びているが、中でも日本は同46%増と突出している。日本市場について同社は「外国人旅行者の貢献」と説明している。

プラダ・グループの決算資料よりhttps://www.pradagroup.com/content/dam/pradagroup/documents/investors/Q1-2024/Prada%20Group_Q1_24_Revenue%20Presentation.pdf
プラダ・グループの決算資料よりhttps://www.pradagroup.com/content/dam/pradagroup/documents/investors/Q1-2024/Prada%20Group_Q1_24_Revenue%20Presentation.pdf

   LVMHのギオニCFOは2024年1~3月期の決算会見で「日本では何度も値上げした」と述べた。円安が急ピッチで進み日本で買うと割安になることを是正する目的だが、値上げが繰り返されることで「今が一番安い」と消費者が考え、購入を急ぐという循環が生じている。

   インバウンド需要の拡大で都内のホテル宿泊費が高騰し、出張難民も増えているが、GW中に日本に旅行した中国人男性に聞くと、「この時期は中国も高いし、東京のホテル代も元換算だとそこまで割高感はない」と返ってきた。「コスト的に国内旅行感覚で来られることが分かったので、6月の3連休でまた来たい」とのことだった。(浦上早苗)


【筆者プロフィール】

浦上早苗:経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。新聞記者、中国に国費博士留学、中国での大学教員を経て現職。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。

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