プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)が所属する大橋ジムでトレーナーを務める八重樫東氏(41)が2024年5月7日にユーチューブを更新し、6日に行われた井上対ルイス・ネリ(メキシコ、29)戦の舞台裏を明かした。
タイトル戦は初回に井上がネリの左フックでプロ初のダウンを喫するも、2回に左のショートフックでダウンを奪い返した。5回にも左フックでダウンを奪い、試合を決定付けると、6回に右ストレートを叩き込んでレフリーストップ。井上が4団体の王座防衛に成功した。
ネリの左フックは「完全に死角になっていたみたいで」
八重樫トレーナーは現役時代、大橋ジムの所属し、世界3階級を制覇した元王者だ。現在は武居由樹(27)のトレーナーを務めている。
井上対ネリ戦と同じ日、セミファイナルに登場した武居は、WBO世界バンタム級王者ジェイソン・モロニー(オーストラリア、33)に挑戦して判定勝ちを収めた。武居のセコンドを務めた八重樫トレーナーは、武居の世界王座獲得に大きく貢献した。
八重樫トレーナーは、井上対ネリの試合を武居の控室で観戦したという。「みなさんもびっくりされたと思いますが」と切り出し、初回の井上のダウンシーンを井上の言葉を交えながら解説した。
「1ラウンドの真ん中くらいに、尚弥が左アッパーを打とうとして。右のクロスを打とうとしたところに(ネリに)左フックを合わされた。1回転して倒れた。尚弥に聞いたんですが、完全に死角になっていたみたいで、(ネリの左フックが)見えなくて右のフックを打とうとしたところに、ドンといった感じみたいだったようです。死角からのパンチみたいだったようです」
そして、ダウンを喫しながらも冷静さを失わなかった井上の非凡さを称賛した。
「人生初のダウンであそこまで冷静に8カウントで立ったのですごいなと思った。なかなかできない。びっくりしてすぐに立ってしまう。(パンチが)効いていると(レフリーに)止められたりする。(話を)聞いたら(パンチが)見えなくて、気が付いたら倒れていたと。アレッとなってカウントが始まり『立たなくては』と思ったけど、1回落ち着いて膝をついてちょっと待とうと思って待ったみたいですね。そこがすごいですよね」