芸能プロ独特の「重要プレイヤーの退陣」現象
――テレビの凋落とSNSの台頭が、芸能プロ倒産ラッシュの主な理由ということですか。今回の調査では、帝国データバンクの過去の倒産報告によくある負債額や取引状況などの分析がみられないのが不思議です。
飯島大介さん 正直に言って芸能プロの倒産には、ゼネコンの倒産などでは重要な要素になる負債額の増加や、取引状況の悪化などはそれほど意味がないように思えます。つまり、本当の理由がよくわからないのです。
芸能界の人脈に強い経営者の引退とか、稼ぎ頭の看板タレントの退所といった「重要プレイヤー」の退陣が倒産に追い込まれた直接の引き金と思われます。そこが、芸能プロの倒産がほかの業種と違う独特なところですが、なぜプレイヤーが退陣したかとなると、明確な理由がわかりません。
――どういうことですか。
飯島大介さん おそらく、ギャラがからんでいると考えられます。昔なら看板タレントが稼いだ分の多くを、事務所が発掘した新人タレントたちの育成費に回していました。看板タレントも事務所に育てられた恩義があるし、事務所を辞めると芸能界ではやっていけないから、我慢をして後輩の面倒をみていたと思います。徒弟奉公の世界ですね。
しかし、今は全体的に芸能プロの仕事が減り、余裕がなくなっています。自分でマネジメントできる能力のある大物タレントたちがどんどん独立しています。それが、芸能プロの倒産ラッシュにつながっているのかもしれません。