コロナ禍を経て国内線の需要は回復基調で、この大型連休も多くの乗客でにぎわった。ただ、人口減を踏まえると、今後の「伸びしろ」が乏しいのも事実だ。航空会社にとっては、小さい機材に切り替えて効率を上げ、ネットワークの維持を図るのが課題だ。
この役割の一翼を担うはずだったのが、三菱重工業が子会社を立ち上げて開発を進めていた「三菱スペースジェット」(SJ、旧MRJ)だが、2023年に開発断念が発表された。
今後の焦点は、SJに代わる小型機となる。ANAホールディングス(HD)の芝田浩二社長は24年4月26日の決算会見で、今後1年かけて議論を深めていきたい考えだと話した。
課題は「マーケットに合った100席前後の飛行機」の調達
SJは08年に持ち株会社移行前のANAが、世界で最初に機種を発注する「ローンチ・カスタマー」として25機(うち確定発注15機、10機仮発注)を発注すると発表。この時点では「13年以降」の導入を目指していた。実現すれば「国産初」のジェット旅客機になるはずだった。だが、トラブルが相次ぎ納入を6回にわたって延期した末、23年2月に開発の断念を発表していた。08年に発表された仕様では、座席数は86~96席を想定していた。
芝田氏はSJ開発中止発表直後の23年2月、23~25年度中期経営戦略に関する記者会見で、(1)SJの納入が遅れる中、代わりの機材を手配してカバーしてきた(2)25年度以降は改めて機材の選定が必要になる、などと説明してきた。
今回の24年4月の記者会見では、コロナ禍からの需要の戻りについて説明する中で、
「国内線でいうと、今後、相対的に爆発的な伸びというのは、おそらく人口減も相まって望めない。マーケットに適した機材の投入が非常に大事になってくると思う」
として、SJに代わる形での「マーケットに合った100席前後の飛行機と、ここの調達が、今後、課題になってくる」とした。