常にアンテナを立てて学び続ける「仕事をするプロ」としての後ろ姿
Oさんは、上司のAさんについて次のようにも話しています。
「Aさんのことは、上司としてというより『仕事をするプロとして』尊敬しています。社外のお客様よりも、社内の上層部の顔色ばかり気にする『ヒラメ上司』的な中間管理職って、けっこういるじゃないですか。世の中のトレンドや、新しいものに全く興味がない人も。でも、Aさんは本当に物知りです。いま流行っている話題やグルメ情報でも、何でも。殻に閉じこもってないところは、お客様に提案するにも欠かせない姿勢だなって思っています」
Oさんが上司のAさんを信頼している理由には、見守ってくれていることに加えて、時代の変化に応じ、敏感に学び続けるプロとしての敬意の念もあるようです。
「仕事で何か相談しても、きっと何かが返ってくる安心感があるんです。『ふーん、そういうのがあるんだ。知らないな』と言われてしまうと、もうそれ以上会話が続かない。でも、Aさんは違うんです」
ブライダル業界はもちろんのこと、どんな業界・企業であっても、常に変わり続ける社会や時代と無縁ではいられません。
現場を束ねる上司が流行や新しいものに無頓着では、お客様がより喜んでいただける提案はできないからです。
上司には、どの部下よりも社外にアンテナを張り、未来に向けて学び続ける真摯さが求められるのです。
(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)
【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。
近著に、『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)など。