家の中でのスマホ利用...「身支度中」4割、「家事の最中」5割、「風呂でも」2割 依存症の心配ない?専門家に聞いた

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   運転中や歩行中の「ながらスマホ」が問題になっているが、家の中でもけっこう「ながらスマホ」をしている人が多いことが、NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田区)が2024年4月25日に発表した調査「イエナカ時間のスマホの利用実態は?」で明らかになった。

   それによると、身支度や家事をしながらスマホを利用している人が約4~5割いるという。

   これって大丈夫なのか? スマホ依存症の兆候ではないのか? 気になって専門家に聞いた。

  • イエナカでのスマホ利用けっこう頻度が多くないか
    イエナカでのスマホ利用けっこう頻度が多くないか
  • イエナカでのスマホ利用けっこう頻度が多くないか

10代女性の3割「入浴中にいつも」スマホを見ている

   モバイル社会研究所の調査(2024年2月)は、全国の15~79歳の男女5719人が対象だ。

   まず、スマホ利用者に、「身支度をしながらスマホを利用するかどうか」を聞くと、「いつも利用している」のは全体の1割程度(11%)で、「いつも」「ときどき」「ごくたまに」を合計すると、全体の4割(40%)が身支中も利用している【図表1】。

(図表1)身支度しながらスマホを利用する割合(モバイル社会研究所の調査)
(図表1)身支度しながらスマホを利用する割合(モバイル社会研究所の調査)

   特に女性10代~20代の利用割合が高く、「いつも」利用する人は3割超、「ときどき」利用する人まで含めると6割を超えることがわかった。

   次に、「家事をしながらスマホを利用するか」を聞くと、全体の約半数が家事をしながらスマホを利用している。10代~70代のどの年代でも女性のほうが利用割合は高い。また、男女とも20代の割合が最も高く、20代男性の約2割(19%)、20代女性の約3割(26%)が「家事をしながらスマホ」の状態だった【図表2】。

(図表2)家事をしながらスマホを利用する割合(モバイル社会研究所の調査)
(図表2)家事をしながらスマホを利用する割合(モバイル社会研究所の調査)

   一方、「テレビを見ながら」ではどうか。「ときどき」「ごくたまに」を含めると全体の約8割(79%)に達し、高年層も利用者が多いのが特徴だ。70代男女でも約4割が利用している【図表3】。

(図表4)風呂に入りながらスマホを利用する割合(モバイル社会研究所の調査)
(図表3)テレビを見ながらスマホを利用する割合(モバイル社会研究所の調査)

   さすがに「入浴しながら」のスマホ利用は、身支度や家事、テレビに比べると少し減るが、それでも全体の約2割(22%)が、お湯に浸かりながらスマホを見ている。若年層が高く、特に10代女性の約3割(26%)が「いつも」利用している。一方、70代男女では数%だけだ【図表4】。

(図表4)風呂に入りながらスマホを利用する割合(モバイル社会研究所の調査)
(図表4)風呂に入りながらスマホを利用する割合(モバイル社会研究所の調査)

「歯磨きしながら」「料理レシピを確認しながら」

   こうした傾向は、イエナカとはいえ、「ながらスマホ」として心配ではないのだろうか。J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当したモバイル社会研究所の小島誠也さんに話を聞いた。

――私は70代で、団塊世代の古い人間のせいか、「身支度をしながらスマホを利用」あるいは「家事をしながらスマホを利用」という姿が具体的にイメージできません。どういう状態なのでしょうか。

小島誠也さん 「身支度」にはたとえば歯磨きなども含まれますので、そういったことをしながらスマホを利用しているものと思われます。一方の「家事」は料理や洗濯、掃除などがあるかと思います。料理という点では、レシピを確認しながら料理をするということもあるでしょうか。

――なるほど。しかし、入浴しながらスマホを利用する人が、若い女性で「時々」も含めて4割近くいますが、スマホが水に濡れたらまずいのではないでしょうか。石鹸がついた手でいじったら、落ちてしまいます。
老婆心ながら、ちゃんと体や髪を洗うことに専念してほしいと思います。

小島誠也さん 防水ケースなどを利用し、湯船につかりながら利用しているケースが多いと思います。ご指摘の通り、防水対応のスマホでも、石鹸がついた手で利用する等は故障の原因となります。十分に注意が必要です。

――イエナカでも、これほどスマホを手放せないということは、どういう理由からなのでしょうか。LINEなどの連絡が入るのをチェックしたいということでしょうか?

小島誠也さん 連絡のほか、SNSのチェックやライブ配信の視聴など、ネット上にあふれている多くの情報を追いかけたいということはあると思います。くわえて、いつも手元にあってすぐ使えるスマホは、イエナカの少し時間があるときの調べものや娯楽目的等に利用しやすいものと推察いたします。

依存症の心配はあるのか?

――それは認めます。私もテレビドラマを見る時だけは、「この俳優、以前どこかのドラマに出ていたな」と検索して調べると、楽しみが増すので使っています。
しかし、これほど日常行動すべてにスマホを手放せないということは、「スマホ依存症」か、その前兆の心配はないのでしょうか。「歩きスマホ」を家の中でもやっている印象を受けます。

小島誠也さん イエナカでスマホを利用することが多いからといっても、ただちに依存症のように日常生活や社会生活に悪影響を与えているとは断言できず、関連に言及することはできません。

また、イエナカでの利用は、家の中でスマホを利用しているということにとどまり、家の中で「歩きスマホ」をしているとは言えないと思います。

――ほかにも「ながらスマホ」の調査をしたことがありますか。

小島誠也さん 歩行中のスマホ利用や、食事中のスマホ利用に関する調査をしました。「歩行中の使用」や「食事中の使用」は、30代以下では6~7割弱程度が行っています。これに対して、他者がスマホを「歩行中に使用」したり、「食事中に使用」したりすることを、60代以上の4割程度が「気になる」と回答しています。

――今回の調査で特に強調しておきたことがありますか。

小島誠也さん 特に水回りでスマホを利用する際には、十分に注意をし、取説なども確認のうえ、安全に利用していただきたいと思います。また、日常のさまざまなシーンでスマホが利用されていることをみなさまに認識いただければ幸いです。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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