猛クレームで担当を外され、すっかり自信を失った部下 上司が伝えた「周囲までよく見渡して」の真意

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「お客様の幸せ第一」は大切 だからこそ、周囲をよく見渡す

Aさん「でも、今回のことで1つ学んでほしい。結婚は、新郎新婦だけでなく2つの家同士が絡んでくる。結婚式は、家族と家族が一緒になることを喜び合う晴れの場。それぞれの考え方が違うことで、うまく進まなくなることもある。両家の意見がうまく折り合わない時は、プロである私たちが上手に仲介やアドバイスに入る必要もあるんだよ。今回も、細かなところで彼や彼の親御さんと彼女の思惑がずれてしまったのかもしれないね。これは、相談に来る若い2人にも、未知の事柄だしね」
Oさん「そうですね...。私は、いろいろアイディアを提案して、彼女が喜んでくれるのが嬉しくて、気づかないうちに自分の理想に引っ張ってしまったのかもしれません。まだ若い二人ですから、節目ごとに彼や親御さんとの意見合わせも促してあげるべきでした。式を盛り上げることばかりに夢中で、突っ走ってました」
Aさん「うんうん。大事なことに気づけたね。目の前の2人だけでなく、その後ろにいるご両親たちも一緒に満足していただくことが私たちの仕事なんだ。だから、2人に見えていない部分も気を付けてあげないと。連絡してきたお母さん曰く、郷里が交通の便が悪い遠方で、決めた式の日時にご親族が集まるのも難しいらしい。そんな相談も、できるとよかったね」
Oさん「本当に、いろいろすみません。私、自信をなくしてしまって、この仕事に向いていないのかもって...」
Aさん「Oさんなら大丈夫だよ。だって、ひどく落ち込んで担当を外した上司の私に食ってかかるかと思いきや、もう自分の至らなかったところに気づけたじゃないか。失敗は誰にでもある。大事なことは、二度と同じ失敗を繰り返さないこと。Oさんのモットーの『お客様の幸せ第一』は、この仕事の素養そのものだよ。今回の件で、お客様の周囲までよく見渡して差し上げるのが大事だと学べたね。ウェディングの仕事は奥が深いぞ。まだまだ学ぶことも多い。一緒に頑張ろう」
Oさん「ありがとうございます! もっと勉強して、頑張ってみます」

   このエピソードは5月6日公開の<経験豊富な「ベテラン部下」が一目置く上司の条件は 殻に閉じこもらず...トレンドを学び続けていますか?>に続きます。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。
近著に、『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)など。

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