「担当者すぐに替えて!」 新婦に寄り添い続けたブライダルプランナー...家族から猛クレーム電話のなぜ

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   上司の言葉がけひとつで、モチベーションが高まった経験はありませんか?

   実際のエピソードや感動的なエピソードを取り上げ、人材育成支援FeelWorks代表の前川孝雄さんが「上司力」を発揮するヒントを解説していきます。

   今回は、ブライダルプランナーとして活躍する、30代のOさんの話です。

  • ブライダルプランナーの忘れられない「挫折経験」とは
    ブライダルプランナーの忘れられない「挫折経験」とは
  • 「上司力」を発揮するヒントとは
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  • 「上司力」を発揮するヒントとは
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人が幸せになるお手伝いがしたい

   カップルの幸せな人生の門出をコーディネートするブライダルプランナーの仕事には、憧れる人も多いでしょう。

   さまざまな経験を積んできたOさんは、今ではベテランの域に達し、職場ではチームリーダーとして後輩育成も担う頼れる存在...。

   ただ、そんな彼女の今があるのも、忘れられない挫折経験から立ち直り、成長できたからとのこと。その陰には、静かに見守りさりげなく支えてくれた上司の存在がありました。

   今回紹介するのは、そんな部下と上司のエピソードです。

   Oさんが今の仕事を選んだきっかけは、電車の中で偶然ブライダル雑誌の広告を見かけたことでした。

   大学時代の就活の時期に、特にやりたい仕事がなかったOさん。それでも、卒業後はきちんと職につきたいし、華やかな世界にも憧れていた。

   でも、自分自身が目立つのは苦手だし...と考えている時に、「この仕事なら人が幸せになるお手伝いができる!」と閃き、ブライダル業界に飛び込みました。

   希望の仕事に就けたOさんは、新入社員研修や先輩のアシスト業務にも熱心に取り組みました。

   ブライダル業務で求められる知識は膨大で覚えるのは大変でしたが、一心に勉強に励みました。Oさんの前向きな姿勢は職場でも評価され、見る見る仕事の基本を身に付けていきました。

ブライダル・プランニングを開始!

   順調に成長したOさんは就職2年目にして、早くも先輩スタッフのフォローのもと、直接ブライダル相談を担当することになったのです。

   先輩に同行してお客様との初期相談から、挙式・披露宴の段取り打ち合わせなどに加わる中で、次第にブライダルの準備段階から当日に至る全体像の理解も進みました。

   そして、お客様担当としてトータル・プランニングを任される立場に。先輩のアシストを受けながらも、無事、数組のお客様のプランを成功させました。

   お客様に寄り添う姿勢とプランニングの内容が喜ばれ、丁寧なお礼のご連絡も頂き、モチベーションはさらに高まりました。

   次のお客様は、20歳を迎えたばかりの若いカップル。

「彼女の希望にできるだけ沿える式にしたい」

   それが、彼の希望でした。この結婚を、誰よりも喜んでくれていたのは、彼女のお母様。シングルマザーで、苦労をして彼女を育ててくれたことに、当日は思い切り感謝の気持ちを伝えたいといいます。

   Oさんは、ぜひ心のこもった最高の式にしようと強く思ったのです。

   彼が仕事で多忙なこともあり、Oさんは彼女と打ち合わせを重ねました。丁寧にご要望を聴き取り、できる限り取り入れ、創意工夫の提案もしながらプランづくりを進めていきました。

「そんな担当者、すぐに替えて!」

   ところが、式の日程と概要が定まりかけた頃、彼女の様子が沈みがちに。

   詰めていきたい簡単な事案にも歯切れが悪くなり、なかなか答えがもらえず、前に進みません。すると、初回の打ち合わせ以来音信がなかった彼のほうから連絡が入り、打ち合わせすることになりました。

   打ち合わせ当日は彼が1人で現れ、一方的に式の日程やプラン変更の話から始まりました。

   これまでずっと彼女の要望を聴き続け、納得のいくプランが固まったところ。Oさんは、突然であまりの方向転換に居たたまれなくなりました。

   そこで、彼女の希望を反映したプランを彼に見せながら説明し、もう一度彼女の意見をよく聴いたうえで、あらためて一緒に来店いただきたいと頼みました。彼は不承不承の様子で、帰っていきました。

   すると数日後のOさんが非番の日に、彼の母親から職場に連絡が入りました。Oさんの上司と折り入って話しがある、と。上司のA課長が電話口に出ると...。

「うちの息子の話では、おたくの担当者は新婦側からだけ要望を聴いてプランを立てていて、新郎側の意見は一向に聞き入れないそうで、納得いかない。そんな担当者は、すぐに替えてほしい!」

   強い口調でした。Aさんは、相手がひどく憤慨している様子と、息子さんたちも同意見とのことから、担当交代は避けられないと判断し、要望を受け入れたのです。

   このエピソードは5月5日公開の<猛クレームで担当を外され、すっかり自信を失った部下 上司が伝えた「周囲までよく見渡して」の真意>に続きます。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。
近著に、『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)など。

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