駐車違反金踏み倒し横行、外務省が重い腰を上げる
それらの報道によると、06年には、インド大使館の職員がビザの申請に訪れた日本人女性にわいせつな行為をした疑いで警視庁が逮捕状をとったが、この職員はすでに帰国していた。
19年には、韓国大使館の職員が暴行の疑いで警視庁に現行犯逮捕されたが、条約に基づいてこの職員はその後に釈放されたという。
また、20年には、ロシアの元外交官がソフトバンクの機密情報が漏洩した事件で書類送検されたが、元外交官は出頭に応じずに出国してしまった。スパイ活動に従事していたとみられている。
外交官らが東京・銀座や六本木などで駐車違反を繰り返し、違反金の踏み倒しが横行しているとも報じられた。
こうした行為に対し、政府が「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)と指定して相手国に通告する方法もあるが、過去には、4ケースほどしかないという。
今回の問題が報じられたことを受け、X上などでは、「何でこんな事がまかり通るのか...」「内容次第では逮捕拘束出来ることにしないと」「大使館に厳重に抗議すべし」といった厳しい意見が相次いでいる。
こうした違法行為に対しては、識者から「犯罪者外交官の氏名・顔写真を公表すべきだ」との指摘も出ていた。
シンガポールを担当する外務省の南東アジア第2課は5月2日、J-CASTニュースの取材に対し、「今後の対応をどうするかも含め、外交特権に関わる性質の話ですので、お答えは差し控えさせていただきます」とだけ答えた。
また、同省の儀典外国公館室は同日、取材に対し、外交官らの駐車違反については、一般からの意見が多数寄せられて報道でも取り上げられたことを認め、法令順守を呼びかけた結果、全体の件数は減っていると説明した。具体的には、18年が3948件あったのが、違反金を支払わなければ外交官らにガソリンクーポンを出さないと通知すると、22年には431件にまでなったという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)