歴史的賃上げ、労働者が素直に喜べない結果に?
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した帝国データバンク情報統括部の飯島大介さんに話を聞いた。
――昨年の値上げが合計約3万2000品目に比べると、今年は10月までに予定されているのが約7000品目と、かなり落ち着いてきた感じがありますが、今後はどうなるでしょうか。
飯島大介さん 確かに値上げ品目の数は減っていますが、決して安心できません。
一番の懸念材料は大幅に突き進む円安です。現在のドル円レートは瞬間風速で1ドル=160円前後に達し、政府日銀の為替介入が取りざたされています。
2022年半ばから2023年前半の値上げラッシュを引き起こした時の相場(1ドル=140円台後半~150円台前半)に比べると、かなり円安です。今後、どこまで進むか、予断を許しません。
150円台後半~160円前後の円安が長期化すると、原材料を輸入に頼る企業では一層のコストアップが見込まれます。
――リポートでは「賃上げ圧力」も大きな懸念材料と指摘していますが。
飯島大介さん 連合が4月18日にまとめた春闘の第4回集計によると、定期昇給を含む平均賃上げ率は5.20%で、33年ぶりの歴史的な高水準となっています。労働者にとっては喜ばしいことですが、企業にとっては人件費分を製品価格に反映させなくてはなりません。
値上げ要因に「人件費」の項目が昨年より3倍も多くなっているのは、そのためです。人件費増の影響が「物流費」の増加にも表れており、そうした影響が一気に秋ごろに表れてくると思います。