昨年の値上げラッシュ時を上回る円安水準
帝国データバンクの調査は、上場105社と非上場90社を合わせた主要195社が対象だ。
それによると、家庭用が中心の5月の飲食料品値上げは417品目を数えた。前年同月(837品目)に比べて5割近く下回り、2022年以降続いていた値下げラッシュもひと息ついた感がある【図表1】。
しかし、値上げ1回あたりの平均値上げ率が5月単月で31%と、単月としては過去最大の30%台を記録したのが懸念材料だ。
その理由に挙げられるのが、4月以降に多く発生した深刻な「原材料高」だ。2024年に予定される「値上げ要因の推移」を見ると、「原材料高」が90.5%を占める【図表2】。
猛暑や干ばつなど天候不順による不作で、カカオ豆やインスタントコーヒー製品の原料となるロブスタ豆、オリーブなどの原材料価格が高騰したことが影響している。
また、値上げ要因に「円安」(28.9%)と「人件費」(28.2%)が、ともに昨年(2023年)の約3倍に達していることも今後の大きな不安材料だ【図表2】。
帝国データバンクでは、急速に進む「円安」と「賃上げ圧力」の高止まりが食品値上げに影響を与えるとして、こう分析している。
「34年ぶりの安値で推移する円ドル為替相場は、2022年半ば~23年前半の値上げラッシュを引き起こした当時の円安水準を超えており、原材料を海外からの輸入に頼る企業では一層のコスト増が見込まれる。賃上げによる人件費や、物流費でもコストアップが続いており、飲食料品への値上げ圧力は今後も相当に高まることが予想される」