東海道新幹線「個室」導入で考える「ハイグレードサービス」 国鉄時代の新幹線には「グリーン個室」も

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東海道・山陽新幹線に食堂車と個室があった

現在の東海道・山陽新幹線は速達性重視
現在の東海道・山陽新幹線は速達性重視

   いまとなっては信じられないが、東海道・山陽新幹線には食堂車があり、個室もあった。国鉄時代に開発された100系新幹線では、2階建て車両が導入された。1階を調理室、2階を食堂とした食堂車はよく知られているが、初期の編成にはグリーン個室が導入されていた。1人用が4室、3人用が6室だった。のちの編成では2階建て食堂車が1階カフェテリア、2階グリーン車になったり、個室のレイアウトが変更されたりした。

   「のぞみ」設定の際にこのような豪華さを捨てた300系が導入され、現在の東海道・山陽新幹線における速達性重視の方向性が決まっていく。

   そんな状況で今回、東海道新幹線に「個室」が導入されると決まる。JR東海はデラックスなサービスに力を入れなくなり、このまま新幹線は速達性重視のままなのかと多くの人が考えていたため、この「個室」に驚いた人は多いはずだ。

   ただ、東海道新幹線は全車16両編成で統一され、グリーン車も3両連結されている。ビジネスパーソンの利用は多く、大企業の経営陣などが乗っていることも多い路線だ。

   こういった路線にこそ、ハイグレードサービスは本来必要なはずだ。グリーン車3両のうち1両を「グランクラス」のような車両にしてもいい。実際、JR東海はさまざまな検討をしていることがうかがえる。

   ただ、それなりに利用者がいるということで、1編成2室の「個室」しか設けられない、となる。

   東海道新幹線にはどんなハイグレードサービスがあったらいいのか、ということをみなさまにも考えていただきたい。とくに過去の100系個室などの例は参考になるだろう。(小林拓矢)


筆者プロフィール

こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。

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