突発的出来事の「予兆」をキャッチできる?
――リポートでは、日経平均のAI予測の限界として「あくまで過去のデータに基づくため、未来の突発的な出来事を予測できない」とあります。たしかに、過去に株価を下落させたリーマンショック、新型コロナ、ロシアのウクライナ侵略などはみな、突発的な出来事です。
しかし、ほかにも「AIの予測には、いくつか限界がある」と指摘していますが、それは何ですか。
柏村祐さん 過去のデータに関することです。
AIがいくら過去のデータを徹底的に分析しても、100%確実に予測できないということです。AI以前でもさまざまなテクニカルチャート分析がなされてきましたが、100%確実に株価や為替レートを予測したためしはありません。
もし、それができれば世の中、みんな大金持ちになります。江戸時代からそれがビジネスの夢でしたが、誰も成功していません。AIが過去データの分析を極めたとしても、テクニカルチャート分析よりは精度が上がりますが、完ぺきにはなりません。
しかし、多少は突発的出来事の予測はできるかもしれません。
――どういうことでしょうか。
柏村祐さん 誰よりも早く、突発的出来事の予兆をキャッチアップできる可能性があります。
AIの膨大な情報源の中にはSNSも入っています。今回の中東紛争で、イランがイスラエルに無人機やミサイルの報復攻撃を行なった時、多くのSNSで夜空を飛ぶ無人機などの映像がアップされました。
現在、SNSのほうが、報道機関より情報が早い場合が多いです。もし、リーマンショックのようなことが再び起こった場合、SNS上で金融機関の社員が書いたリポートがアップされれば、それを巨大な金融不祥事発生のシグナルとしてAIが事前にキャッチすることも可能になります。
大きなリスクの予兆を知ることで、優位に立つことができます。もっとも、SNSにはフェイクニュースがつきものなので、注意が肝要です。