「AI推奨銘柄」や「AI予測アプリ」は、鵜呑みにするな
J‐CASTニュースBiz編集部は、リポートをまとめた第一生命経済研究所の柏村祐さんに話を聞いた。
――株価予測とドル円レートの予測、ともに「楽観シナリオ」と「悲観シナリオ」の結果に大きな違いが出たことが驚きです。AIに「楽観シナリオ」と「悲観シナリオ」を作成させるには、地政学、経済動向、政治動向などにどんなデータを打ち込む必要があるのですか。
柏村祐さん 何もありません。私が今回のリポートでやったことはたった2つです。過去のデータを読み込ませたうえで、「楽観シナリオと悲観シナリオを作成しなさない」「それぞれのシナリオに基づいて、2024年6月末、9月末、12月末の予測を算出しなさい」と指示しただけです。
――それだけで、これだけの予測ができてしまうのですか。今回、このリポートを出した狙いは何ですか。
柏村祐さん 金融市場では現在、AIを用いた株価予測手法が投資家の間で大きな関心を集めています。
AIには大量のデータの「予測モデル」が埋め込まれているため、「楽観シナリオと悲観シナリオを作成しなさない」と指示するだけで、分析と予測が可能になり、リスク管理の精度がこれまでの図表やグラフでやっていたテクニカルチャート分析より高くなります。
皆さんにAIによる予測に興味をもっていただくために、「楽観シナリオ」と「悲観シナリオ」を初めて自分で作ってみました。これは私のオリジナリティーです。「中立シナリオ」もつくってみましたが、あまり面白い結果ではないので、割愛しました(笑)。
――最近、証券会社では「AI推奨銘柄」を大々的に宣伝しています。また、多くの「AI株価予測アプリ」が出回っています。そういうところでも、「楽観シナリオ」と「悲観シナリオ」はあるのでしょうか。また、そういう「AI推奨銘柄」や「AI株価予測アプリ」は信用できるものでしょうか。
柏村祐さん 証券会社やアプリなどが、AIでどういう予測をしているのかは、おそらく企業秘密なのでわかりません。
利用する場合は、実績があるものかどうか、しっかり調べて確認する必要があります。また、たとえ実績があっても絶対に鵜呑みにしないで、最終的には自己責任で判断してください。
だって、お金って自分や家族の健康の次に大事なものでしょう? 自分の人生と同じです。AIや投資のプロが勧めても、最後に決めるのは自分自身です。