インド料理店で、よく見かける光景がある。「ナンお代わり無料」のサービスだ。大きなナンを何枚も食べられないだろうが、客にとってはうれしい気前の良さ。カレーセットが1000円以下で、ナンもお代わりできる店が少なくない。
しかし、店として採算は取れているのだろうか。インド料理店の営業について聞くため、外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんを取材した。
店の数は10年間で4倍増
NHKの2018年10月5日の報道によると、NTTタウンページでの調査で2008年の「インド料理」の登録数は569件だったが、17年には2162件と4倍に増加している。
堀部さんに、ナンの原価についてたずねた。材料は小麦、油、イースト、水などで原価は30円程度だという。「もちろん来店客全員が2枚、3枚と食べると経営的には苦しくなりますが、ボリューム的には1枚で完結することが多いので、原価が良くコントロールされています」。
インド料理店では一般的に、料理に対する原価率が30%程度に抑えられているという。
また多くの場合、開店する際は「スケルトン」(内装を一から作る)ではなく、「居抜き」(飲食店の造作が残っている)のケースが多いと堀部さんは話す。物件取得費を加味しなければ、外観、厨房設備、その他を含めても初期投資は400~500万円で済む。例えば、「スケルトン」の居酒屋では、これが700~1000万円かかることもある。その半額程度で、インド料理店をオープンすることができるのだ。