プロ野球巨人の阿部慎之助監督(45)が3人の捕手を併用してシーズンに臨んでいる。
原辰徳監督(65)が指揮を執った昨シーズンは大城卓三捕手(31)でほぼ固定されていたが、今シーズンは大城、小林誠司捕手(34)、岸田行倫捕手(27)を先発投手によって使い分けている。
昨シーズンからの起用法を変え、独自の色を出す阿部新監督。捕手併用の目的、狙いはどこにあるのか。
J-CASTニュースは、巨人、ヤクルト、西武、楽天でコーチを歴任したオイシックス新潟アルビレックスBCの橋上秀樹監督(58)に分析してもらった。
「キャッチャーとしての信頼度は小林選手の方があると思います」
今シーズンは4月25日時点で23試合を行い、大城が11試合、小林が7試合、岸田が5試合に先発した。
小林は菅野智之投手(34)、高橋礼投手(28)と、岸田は若手の山﨑伊織投手(25)、赤星優志投手(24)とそれぞれコンビを組んでいる。
巨人のコーチ時代、現役だった阿部監督を指導した経験のある橋上氏は、阿部監督の捕手起用の狙いをこう分析した。
「意図はいくつか考えられるが、現時点で大城選手がメイン捕手なので大城選手の疲労を蓄積させないためにある程度休養を与えるということが第1の目的だと思います。もうひとつは先発ピッチャーとキャッチャーの組み合わせを固定すること。それにより、マイナスよりもプラスの要素が多くなる。ピッチャーの特徴を引き出しやすくなり、意思疎通が図りやすくなる。いろいろな経験を積み重ねていくのでお互いに考え方などを理解できるようになります」
阿部監督の独自の捕手起用法は、捕手出身監督ならではの考え方だという。
橋上氏は「キャッチャーとしての信頼度は小林選手の方があると思います」とし、阿部監督の思惑に言及した。
「リード面に目をつぶるというのが原監督の考え方」
「阿部監督には、対戦チームのピッチャーがよいので、大城選手を起用して攻撃力を上げて勝ちに行こうという発想はないと思います。対戦チームのピッチャーがよくても、自軍のピッチャーがあまり失点をしないだろうと考えた時に、守備にリスクのあるキャッチャーを起用するということはしないでしょう。これはキャッチャー出身の監督の考え方です」
そしてこう続けた。
「野手出身の監督であれば、対戦チームのピッチャーがなかなか打てるピッチャーではないから、攻撃力を上げるために、配球面で劣っても少しでも打てるキャッチャーを使う傾向にあると思います。昨シーズンに関して言えば、大城選手は攻撃力のあるキャッチャーなので、リード面に目をつぶるというのが原監督の考え方だったと思います。キャッチャー出身と野手出身の監督では、キャッチャーに対する考え方がだいぶ違うと思います」
今シーズンは投手陣が安定しており、4月25日時点でチーム防御率1.83は両リーグ通じてトップで、46失点はリーグ最少だ。橋上氏は投手陣の好成績の陰に捕手の存在があるとした。
「昨年と比べて明らかに投手陣が整備されている。新戦力もいるが現有の底上げがメインになっている。もともと持っている能力をキャッチャーが引き出している。大城選手は小林選手が試合にでることによってベンチから学ぶことが多く、刺激を受けていると思います。今のところ、小林選手とコンビを組んでいる菅野投手と高橋投手の成績がよく、その他のピッチャーも全体的によいので、阿部監督のキャッチャーの起用法は十分に機能していると言ってもいいと思います」
2つの貯金でリーグ2位につける阿部巨人。26日から敵地・横浜スタジアムでDeNAと3連戦を予定している。