牛丼チェーンの吉野家と、さぬきうどんチェーンのはなまるうどんは、同じ吉野家ホールディングスが運営する。この二つを併設している店舗がある。福岡空港国内線ターミナルビル店という空港内の店舗や、流山おおたかの森店といった商業施設内の店舗、ミーナ天神店、浜松アリーナ前店など全国14店舗だ。
松屋フーズホールディングも、同じグループのとんかつ「松のや」と「マイカリー食堂」を併設した店舗を増やしている。こうしたスタイルの出店の狙いを、吉野家ホールディングスと松屋フーズに取材した。
より幅広い顧客層のニーズに対応
松屋フーズの、「松のや」「マイカリー食堂」併設は68店、牛めしの「松屋」、「松のや」、「マイカリー食堂」、「すし松」など3業態複合店舗は7店ある。同社を取材すると、2ブランド以上の複合型店舗をオープンすることで、多彩なメニューを提供でき、より幅広い顧客層のニーズに対応することで高い集客力を発揮していることを説明した。
「ご家族を連れて来店した際に、それぞれ好きなメニューを食べることができるのが利点です。お客様にとって、選ぶ楽しさとワクワク感、体験できる食のテーマパークのような店舗を目指しています」
今後、主に「松屋×松のや」「松屋×マイカリー食堂」「松のや×マイカリー食堂」の組み合わせを増やす予定だと明かす。また、2023年7月下旬には「すし松×松のや」という、すし店ととんかつ店の併設店を神奈川県横浜市にオープンした。
経費面でもメリット
吉野家では2010年代から併設店を導入し、さまざまな検証を行ってきた。吉野家HD広報によると、「吉野家の国内1200店舗ほどのうち、はなまるうどん併設店は14店舗。見つけた人は、相当レアなものを見たと思っていただいてよいと思います」。
両店舗を併設にすることで、各種うどんにミニ牛丼をセットにできるコラボ商品を提供するなど、利用客にとってのメリットを説明した。
商業施設内にあるフードコートに、併設店を構えているケースもある。この点、「食器を洗浄する設備を共用することができるなど、出店する経費の面でもメリットがある」と述べた。