高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 批判浴びる万博後のIR、それでも大阪の「街中パチンコ」よりマシな理由

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大阪府のパチンコ愛好者をカジノに誘導できれば......

   先日、筆者はあるラジオ局主催の大阪でトークショーに出席した。その場で、あるマスコミの方が大阪のカジノが酷いというために、(シンガポールにあるIR施設の)マリーナ・ベイ・サンズとの比較データを出し、それに基づき、大阪カジノの方がギャンブル依存を促進すると主張した。

   ところが提示されたデータは筆者にとって説得力がなかった。ちなみに、そのデータから筆者が期待収益率を計算すると、マリーナベイ 97%、大阪97%と同じ。この数字は、国際的カジノと同じであり、ギャンブル依存を著しく助長するとは言い難い。また、年間賭け金額は、マリーナベイ 14万円、大阪74万円と大阪が大きかったが、今のパチンコの半分以下である。今の街中パチンコより大阪のカジノの方がまともである。もし、大阪府のパチンコ愛好者をカジノに誘導できれば、今よりギャンブル依存を減らせるだろう。そもそも街中にギャンブルがあるのは国際的に異様であり、ギャンブルはカジノに閉じ込めるべきものだ。

   マスコミの人は、数字に基づく論証をできずに、まず結論ありきだ。データは単なるコケ脅しでしかなかった。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。

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